生活習慣病ドリルDisease

3MARCH

問 題高尿酸血症は
□□の機能を低下させる

痛風の原因となる高尿酸血症。高尿酸血症になると痛風以外にも健康にさまざまな悪影響が及びます。高尿酸値症について理解を深めながら、ドリルの答えを考えてみましょう。

自覚症状のないまま
慢性腎臓病のリスクが高まる

高尿酸血症とは、尿酸値(血液中の尿酸の濃度)が高い状態のことです。尿酸は1日に「作られる量」と「排出される量」のバランスがとれており、尿酸値は一定に保たれています。しかし、何らかの原因で尿酸が作られ過ぎたり、排出されにくくなったりすると、体内の尿酸量が増えて高尿酸血症になります。
高尿酸血症というと激痛を伴う痛風や、尿路に結石が生じる尿路結石をまねく病気として知られています。しかし、それだけではありません。尿酸値が高いだけでは自覚症状がないため、高尿酸血症を放置すると腎機能が低下し、慢性腎臓病の発症リスクが高まることがわかっています。

ドリルの答え

高尿酸血症は
腎臓の機能を低下させる

高尿酸血症による尿酸の結晶は腎臓にもたまり、腎臓の機能が低下します。すると、尿酸が尿から排出されにくくなるため尿酸値が上がります。さらに腎機能が低下するという悪循環に陥り、慢性腎臓病の発症リスクが高まります。慢性腎臓病は進行するまで自覚症状がなく、対処が遅れると人工透析に至ります。また、高尿酸血症は高血圧や糖尿病、脂質異常症などを合併しやすいため注意しましょう。

高尿酸血症を
予防・改善するポイント

高尿酸血症そのものは、全く自覚症状がない病気のため、指摘されたら生活習慣を見直しましょう。尿酸はプリン体という物質をもとに作られるので、プリン体の多い食べものは控えます。また、肥満は体内でプリン体の合成を促すなどして高尿酸値症の発症リスクを高めるため、食事や運動で肥満を改善することも大切です。

  • お酒は適量を守って飲む

    アルコールが尿酸値を上げるため、お酒の種類に関係なく適量を守って飲む。適量は純アルコールで1日20gが目安。週2日以上、休肝日も設ける。

    *出典:標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年版)

  • プリン体の多い食べものを控える

    プリン体の摂取量は1日400mgにすることが推奨されている。プリン体が多いのは肉類や魚など。逆に卵や乳製品、野菜、大豆製品などは少ない。

    *出典:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版

  • 腹八分目を意識する

    腹八分目を意識して食べ過ぎないようにする。栄養バランスのよい食事も心がける。

  • 有酸素運動を心がける

    運動は肥満を改善し、尿酸値を下げる。適度な有酸素運動を習慣にする。

  • 水分を十分にとる

    尿量が増えて尿酸の排泄が促される。甘いジュースや牛乳を水代わりに飲まない。

*参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)、「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」(日本痛風・尿酸核酸学会)

岡田 邦夫
監修者プロフィール

岡田 邦夫 OKADA KUNIO

特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、岡田産業医事務所所長、労働衛生コンサルタント。専門分野は糖尿病などの生活習慣病、メンタルヘルス、スポーツ医学など幅広く、長年、産業医として健康指導や講演など多方面で活躍。著書も多数ある。

TO PAGE TOP