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うつ病を知る・防ぐ
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2月
うつ病と間違いやすい適応障害

原因がはっきりしており、原因がなくなれば症状が改善する

適応障害は、ある特定の状況やできごとが、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、精神面や行動面に症状があらわれて仕事や日常生活に支障をきたしている状態です。
ストレスがきっかけとなって発症し、抑うつ気分が強くなる点はうつ病と似ていますが、適応障害は原因となる状況やできごとがはっきりしており、その原因から離れると症状が改善します。うつ病のようにストレスがきっかけとなって脳の機能に変調が生じるまでには至っていない段階だからです。一般的にストレス要因が生じてから1カ月以内に症状があらわれ、ストレス要因がなくなると6カ月以内に症状は改善します※。
ただし、ストレス状況が改善しない場合、症状が悪化してうつ病に発展することがあるため、適切に対処することが大切です。
※ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)より

適応障害に見られるおもな症状

適応障害の症状は、ストレスに対する正常なストレス反応の延長上にあります。症状はおもに以下の4つに大別され、これらのいずれかが目立った状態、あるいはいくつかが混在した状態であらわれます。一方、ストレス要因から離れている時間(休日など)は症状が軽くなる傾向があります。

環境の変化やストレスフルなできごとがあれば注意が必要

適応障害は、著しい環境の変化やストレスフルなできごとに対して順応しようとする時期に発症します。
原因となるおもなストレス要因は、仕事上では就業や配置転換などによる仕事内容などの変化、職場の人間関係などがあり、生活上では家族や親しい人との不和、引越し、結婚などがあります。昇進や結婚などの喜ばしいことも、大きな環境の変化を伴えば適応障害の要因になります。このほか、大きな病気など体調の変化が要因となることもあります。
こうした著しい環境の変化やストレスフルなできごとがあった場合は、いつも以上に積極的にストレスに対処することが大切です。

治療の中心は休養と環境調整。
適応障害に精通している医師を見つけよう

適応障害は原因となるストレス要因がなくなれば症状が改善するため、治療の基本は休養と環境調整です。症状が強く出ている場合、対症療法として薬を使用します。
環境調整ではストレス要因を取り除くことや、ストレスへの対処能力を高めることが必要になり、この目的でカウンセリングや認知行動療法を行うのが有効とされています。また、本人の努力だけでは問題が解決しないことが多いため、周囲の協力やサポートを得ることもかかせません。
適応障害が疑われるとき受診するのは、精神科や心療内科です。ただし、誤ってうつ病などの心の病気と診断され、薬物療法を行うと、かえって気分の落ち込みなどが悪化してしまいます。そのため、適応障害に精通している医師に診てもらうことが大切になります。

監修者プロフィール

上野 幹子 UENO MIKIKO

産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、認定心理士。民間企業や官公庁、警察、大学などで心理学、脳科学を応用した独自の手法でカウンセリングやキャリア・能力開発のセミナーを数多く実施。これまでカウンセリングやセミナーで対面した人は延べ2万人を超えている。
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