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12月:片側のマヒ・ろれつが回らない

突然、体の片側にマヒが生じたり、ろれつが回らなくなったときは脳梗塞が疑われます。対処が遅れると後遺症が残ることや命にかかわることがあるため、すぐに医療機関へ。近年、脳梗塞の低年齢化が進んでおり、30~40歳代の若い人も注意が必要です。

脳梗塞のサインを見逃さないで

脳梗塞は脳の血管が詰まる病気です。脳は全身のあらゆる機能をつかさどる司令塔なので、血管が詰まって酸素や栄養が途絶えるとその先の細胞が壊死し、その部分が担っていた機能が失われて、突然さまざまな症状が現れます。
よくみられるのは、体の片側の手足のマヒ・しびれや顔のゆがみ、ろれつが回らなくなる、ものが二重に見える・視野が半分欠ける、激しいふらつきやめまいなどです。こうした症状がひとつでも現れたら、すぐに救急車を呼びましょう。発症後4時間半以内に治療を行えば、後遺症を抑えられる可能性があります。
なにごともなかったかのように症状がおさまることがありますが、これは一時的に脳の血管が詰まる一過性脳虚血発作(TIA)で、脳梗塞の前触れ症状です。この段階で治療すれば脳梗塞を未然に防ぐことができるため、脳梗塞のサインが一時的に現れたときも、すぐに医療機関を受診しましょう。


後遺症が残ると重い負担がのしかかる

医療技術の進歩によって脳梗塞の死亡率は減少していますが、血流が途絶えて壊死した脳細胞は再生しないため、対処が遅れれば体の機能の一部が失われて後遺症が残ります。
そうなれば身のまわりのことや仕事ができなくなることがあり、脳梗塞は要介護者になる原因の第1位(※)です。介護の負担はたいてい家族が担うことになり、収入の減少や医療費などによる経済的負担も重くのしかかります。
脳梗塞は加齢に伴って増える病気ですが、30~40歳代で発症する若年性脳梗塞も増えています。脳梗塞の多くは血管が硬くもろくなる動脈硬化の進行によって発症し、若い世代にも動脈硬化の危険因子である肥満や生活習慣病を複数もつ人が増えているからです。発症年齢が若いと、後遺症による負担が長期間つづくことになります。そうした事態にならないためにも、若いうちから脳梗塞の予防に努めましょう。


※厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査の概況」より


脳梗塞を防ぐ生活習慣

脳梗塞を防ぐためには動脈硬化を進行させないことが大切です。動脈硬化の危険因子は高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や肥満、喫煙、過剰飲酒などで、危険因子の数が多いほど脳梗塞の発症リスクが高くなります。生活習慣を改善して、危険因子を減らしていきましょう。
なお、不整脈の一種である心房細動も脳梗塞(心原性脳塞栓症)の原因です。心房細動にははっきりとした自覚症状がないため、脈拍に異常を感じたり、強い動悸や息切れなどがあれば、必ず内科や循環器科に相談しましょう。心房細動による脳梗塞は重篤な障害を起こすケースが多いため、予防が不可欠です。


監修者プロフィール

岡田 邦夫 OKADA KUNIO

プール学院大学教育学部教育学科教授、健康・スポーツ科学センター長。大阪ガスグループ健康開発センター 統括産業医。糖尿病などの生活習慣病、メンタルヘルス、スポーツ医学など幅広い専門分野をもち、長年にわたり健康指導や講演など多方面で活躍している。著書も多数出版。

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