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4月:大いびき

いびきは熟睡している証拠だと思っていませんか。実は睡眠中の呼吸障害によって起こるもので、慢性化すると体にさまざまな悪影響がでてきます。とくに大いびきをかいている場合、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。いびきをよくかくといわれている人は注意しましょう。

心配のないいびき・危険ないびき

いびきは鼻からのどにかけての気道が狭くなっている場合、吸い込んだ空気がそこを無理やり通ろうとするときに生じる鼻やのどの粘膜の振動音。つまり、いびきをかいているときは、体内に十分な空気が取り込めていない状態です。
そのため、睡眠中いつもいびきをかいていると、体にさまざまな悪影響がでてきます。とくに大いびきや往復いびきは、気道が非常に狭くて空気が通りにくい場合に生じ、体に大きな負担がかかる危険ないびきです。
一方、風邪や花粉症などによる鼻づまりや疲労、お酒の飲みすぎ、ストレスなどによるいびきや、寝入りばなにかくいびきは一時的なものなので心配いりません。
子どものいびきにも注意しましょう。子どもは体になんらかの異常がない限りいびきをかきません。いびきがつづくと慢性的な寝不足になり、成長が阻害されてしまいます。


睡眠時無呼吸症候群に注意しよう

大いびきがみられるとき注意したいのが、睡眠時無呼吸症候群です。あお向けで寝たとき軟口蓋(上あご)や口蓋垂(のどちんこ)、舌根(舌のつけ根)が重力で下に沈んで気道が狭くなり、ついには気道をふさいで無呼吸になる病気で、「気道が狭くなり大いびきをかく→気道がふさがって無呼吸になり、いびきが止まる→息苦しさで脳が目覚め、大いびきとともに呼吸が再開する」をくり返します。
無呼吸になると血液中の酸素が不足し、ひと晩に何度も脳が目覚めて交感神経の緊張状態がつづくため、高血圧や糖尿病、脂質異常症などを合併しやすく、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の発症リスクが高まります。また、慢性の睡眠不足になるため日中に強い眠気を引き起こし、大事な商談中などに居眠りをしたり、居眠り運転による事故の原因にも。放っておくと、自分だけでなく他人の命も脅かす怖い病気です。


睡眠時無呼吸症候群を予防・改善するには

睡眠時無呼吸症候群は命に関わる病気なので、できるだけ早く治療することが大切です。正しい治療を受けることで症状を改善できます。いびきをよくかく人は、睡眠時無呼吸症候群が疑われる症状がないかを家族の人にチェックしてもらいましょう。
睡眠時無呼吸症候群を予防するためには、おもな原因である肥満の解消が欠かせません。肥満の人はのど周辺にも脂肪がついていて気道がもともと狭く、無呼吸をまねきやすいからです。首が短い人や小顔であごが小さい人も、気道が狭いため注意しましょう。また、女性は更年期(45~55歳ごろ)以降に発症リスクが高くなる傾向があります。
お酒の飲みすぎなどによる一時的ないびきを、できるだけ繰り返さないようにすることも大切です。繰り返すと気道が狭くなっていびきが慢性化し、睡眠時無呼吸症候群に発展する可能性があります。



監修者プロフィール

岡田 邦夫 OKADA KUNIO

プール学院大学教育学部教育学科教授、健康・スポーツ科学センター長。大阪ガスグループ健康開発センター 統括産業医。糖尿病などの生活習慣病、メンタルヘルス、スポーツ医学など幅広い専門分野をもち、長年にわたり健康指導や講演など多方面で活躍している。著書も多数出版。

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