9月:歯ぐきの出血
成人(35歳以上)の8割以上にみられる歯周病(※)。自覚症状のないまま進行し、最悪の場合、歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気です。歯ぐきからの出血は、歯周病の重要なサイン。大切な歯を失わないためにも、歯ぐきからの出血があればすぐにみてもらいましょう。
※厚生労働省平成23年度歯科疾患実態調査より
見過ごさないで!歯ぐきの出血
わたしたちの歯は、歯肉(歯ぐき)や歯槽骨などからなる「歯周組織」に支えられています。歯周病は、その歯周組織が歯周病菌によって壊される病気です。
歯周病は歯肉に炎症が起こる「歯肉炎」から始まります。歯肉炎は歯ぐきの出血ぐらいしか目立った症状はなく、見過ごされがちですが、この段階で歯周病の原因であるプラーク(歯垢)や歯石の除去を徹底すれば健康な歯が取り戻せます。
しかし、歯肉炎を放置すると炎症が歯の根のほうへ広がり、歯槽骨が溶けていく「歯周炎」に進行。歯のグラつきや強い口臭などがみられるようになります。歯がグラグラするまで歯槽骨が溶けてしまうと歯を残す治療は困難になり、歯が抜け落ちてしまいます。
こうした事態を防ぐためには、歯ぐきの出血があればすぐに対処することが大切です。
歯周病は全身の病気にも悪影響
歯周病の怖さは、歯が抜け落ちることだけではありません。歯周病菌が血液中に入り、体のすみずみに運ばれて全身の病気や妊娠などにも悪影響を及ぼします。
たとえば、歯周病の人は糖尿病が悪化しやすく、糖尿病の人は歯周病になりやすいことがわかっています。また、歯周病は動脈硬化を促進し、心筋梗塞などの虚血性心疾患や、脳梗塞などの脳血管障害のリスクを高めます。
女性は妊娠中、女性ホルモンの影響で歯周病になりやすく、妊婦が歯周病の場合、早産や低出生体重児出産のリスクが高くなります。このほか高齢者に多い誤えん性肺炎や認知症も歯周病との関連が指摘されています。
歯ぐきの出血に気づき、早い段階で歯周病に対処することは、全身の健康を維持するうえでも重要です。
歯周病を予防・改善するには
歯周病のいちばんの原因であるプラークを毎日の歯磨きで取り除くこと、定期的に歯科検診を受けて歯石を取り除いてもらうことが歯周病を予防・改善するために欠かせません。プラークは歯につく白いネバネバした物質で、歯周病菌などがすみついた細菌の塊です。歯石はプラークが石灰化したもので、石のように硬く、歯磨きではとれません。
歯磨きは毎食後に行うのが理想ですが、ムリであれば就寝前、念入りに行いましょう。喫煙は歯周病のリスクを高めるため、禁煙することをおすすめします。