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7月:喫煙者の咳・痰

「たばこを吸っていれば、咳や痰がでるのは当たり前」だと思っていませんか。長引く咳や痰は、呼吸器にトラブルが生じているサイン。長年たばこを吸っている人は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺がんなどに注意が必要です。思いあたる症状があれば医療機関に相談し、できるだけ早く禁煙しましょう。

たばこを吸っていると、なぜ咳や痰が増える?

たばこを吸っている人は、空気の通り道である気管や気管支、肺が常にたばこの有害物質にさらされています。そのため、慢性の炎症が起こり、粘膜からの分泌液、つまり痰が増えます。痰を出すために咳も増えます。
咳や痰は異物を排除して体を守ろうとする防御反応のひとつで、通常は一時的なもの。咳や痰が続いている場合は、気管や気管支、肺のトラブルが疑われます。
長年、たばこを吸っている人が注意したい症状は、「風邪などをひいていないのに咳や痰がつづいている」「血痰がある」など。これらはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺がんなどに見られるものです。咳や痰は呼吸器の病気の早期発見に役立つ重要なサイン。見過ごさないようにしましょう。


早期に発見したい「COPD」と「肺がん」

【COPD】

長年の喫煙によって気管や気管支、肺(肺胞)に慢性の炎症が起こり、肺機能が低下する病気。進行が遅く、気づいたときには肺機能がかなり低下していることがあります。
病状が進むと息切れがひどくなり、日常生活に支障がでます。風邪などをきっかけに症状が急激に悪化しやすく、常に酸素吸入が必要になったり、寝たきりになることもあります。
現在、40歳以上の530万人がCOPDと推測されていますが、COPDに気づき、治療をしている人は22万人です(※1)。


【肺がん】

気管や気管支、肺(肺胞)の細胞の一部が、がん化する病気。難治がんで、がんによる死亡の1位です(※2)。
肺の入り口にできるがんは喫煙と関連が深く、肺の奥にできるがんは喫煙者だけでなく、非喫煙者、とくに他人のたばこの煙を吸う受動喫煙にさらされている人に多くみられます。
肺がんは早期の段階では症状が見られないこともあります。喫煙者も非喫煙者も40歳を過ぎたら、年に1回「肺がん検診」を受けましょう。


※1:日本のCOPD有病率を調べるために2001年に行った疫学調査「ナイス・スタディ」の結果より
※2:国立がん研究センターがん対策情報センター 2013年の統計より


COPDや肺がんを予防するためには

COPDも肺がんも最大の原因は喫煙です。そのため、禁煙することがCOPDや肺がんを予防する最善の方法です。たとえCOPDを発症していても、禁煙することで症状の進行を抑えることができます。
喫煙は周囲にいる家族や友人、同僚などのCOPDや肺がんのリスクも高めます。自分だけでなく、大切な周囲の人の健康を守るためにも、できるだけ早く禁煙に取り組みましょう。禁煙に遅すぎることはありません。


監修者プロフィール

岡田 邦夫 OKADA KUNIO

プール学院大学教育学部教育学科教授、健康・スポーツ科学センター長。大阪ガスグループ健康開発センター 統括産業医。糖尿病などの生活習慣病、メンタルヘルス、スポーツ医学など幅広い専門分野をもち、長年にわたり健康指導や講演など多方面で活躍している。著書も多数出版。

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