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11月:便秘・下痢

排便習慣は人それぞれで、食事に影響されたり、ストレスなどで一時的に便秘や下痢になることもあるため、あまり神経質になる必要はありません。しかし、いままでにない便秘や下痢がみられるときは、病気が隠れていることもあるため注意が必要です。

便通異常は病気のサイン

これまで規則正しい排便があった人が便秘ぎみになる、下痢がつづくようになる、下痢と便秘をくり返すなどがみられる場合は「便通異常」と考えられ、なんらかの病気が疑われます。
便通異常がみられる病気には、「過敏性腸症候群」「大腸ポリープ」「大腸がん」「潰瘍性大腸炎」「クローン病」「感染性腸炎」などがあり、このうちよくみられるのは「過敏性腸症候群」と「大腸がん」です。
過敏性腸症候群の便通異常には「下痢型」「便秘型」「交替型」があり、「腹痛」などのおなかの症状もみられます。大腸がんは早期の段階では自覚症状がありませんが、進行するとみられる症状に「下痢と便秘のくり返し」といった便通異常や、「血便」「下血」「便が細い」などがあります。
こうした症状があるときは、消化器科に相談しましょう。過敏性腸症候群が疑われる場合は心療内科でもかまいません。


「過敏性腸症候群」は若い人に多くみられる

過敏性腸症候群は、検査では異常がないのに腹痛と便通異常がつづく病気です。原因は解明されていませんが、ストレスが関与しており、不規則な生活や睡眠不足、暴飲暴食なども要因のひとつです。
命にかかわる病気ではありませんが、放置していると生活の質を低下させます。腹痛と便意が起こる不安で他人とのつき合いが苦手になったり、外出や仕事に支障がでることがあります。長引く便秘で気分が落ち込み、抑うつになる人もいます。
こうした事態を防ぐためには早めに専門家に相談し、治療することが大切。ストレスが関係しているため完治は難しいですが、生活・食事の改善や薬物療法などによって症状を緩和し、過敏性腸症候群とうまくつき合っていけるようになることを目指します。


「大腸がん」は40歳以降の男女に多い

全がんの中で大腸がんは罹患数が男女とも第2位で、女性は大腸がんががんによる死亡数の第1位です(※)。大腸がんになる人は40歳代から増えはじめ、高齢になるほど多くなります。
大腸がんが増えている背景として、米や野菜を中心とした和食から、肉類を中心とした高たんぱく・高脂肪で食物繊維の少ない食事に変わったことや、飲酒量の増加、運動不足などが指摘されています。
大腸がんを防ぐためには運動や食物繊維の摂取などが有効ですが、100%予防することができません。また、早期の段階では便通異常などの自覚症状がないため、40歳以降、年に1回、大腸がん検診を受けることが大切です。大腸がんは早期に発見し、治療すればほぼ完治します。

※出典:国立がん研究センターがん対策情報センター。罹患数(新たにがんと診断された人の数)は2012年、死亡数は2014年。


監修者プロフィール

岡田 邦夫 OKADA KUNIO

プール学院大学教育学部教育学科教授、健康・スポーツ科学センター長。大阪ガスグループ健康開発センター 統括産業医。糖尿病などの生活習慣病、メンタルヘルス、スポーツ医学など幅広い専門分野をもち、長年にわたり健康指導や講演など多方面で活躍している。著書も多数出版。

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