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1月:頻尿

頻尿は生活の質を低下させる厄介な症状で、尿もれにもつながります。また、病気が隠れている場合もあるため軽視は禁物です。原因を知り、適切に対処すれば改善できるため、頻尿で困っているときは恥ずかしがらずに泌尿器科を受診しましょう。

頻尿が起こる原因はさまざま

頻尿の定義は「排尿回数が昼間8回以上、夜間は1回以上」です。本人が困っていなければ治療の必要はありませんが、病気が隠れていないか注意する必要があります。
頻尿の原因で多いのは、膀胱が過敏になり尿意が頻繁に起こる「過活動膀胱」。女性では「腹圧性尿失禁」や「膀胱炎」、男性では「前立腺肥大症」も挙げられます。前立腺がんも頻尿をまねきますが、がんが進行してからで早期のうちは自覚症状がありません。また、見逃せないのが健康や美容のためとして水分をとりすぎることによる「多尿」。緊張するとトイレが近くなるのも頻尿(心因性頻尿)のひとつです。
夜間だけ頻尿になる場合は、高血圧や心臓・腎臓の機能低下による「夜間多尿」や「睡眠障害」が疑われます。足の筋力が低下し、日中、足にたまった水分が体を横にすることで血管に戻り、夜間頻尿をまねいていることもあります。


頻尿のおもな原因とサイン

■過活動膀胱(男女ともに多い)

過活動膀胱は「尿意切迫感」「頻尿」「切迫性尿失禁」を特徴とする病気で、患者数は810万人以上(※)と推定されています。脳やせき髄の障害によって起こる場合もありますが、大半は原因がはっきりしない特発性のもの。排尿日誌や骨盤底筋体操などの行動療法や薬物療法で改善が可能です。
※日本排尿機能学会の調査(2003年)より。


■腹圧性尿失禁(女性に多い)

腹圧による尿もれで、それを避けるために早めに排尿するクセがつくと膀胱に尿をためる力が弱まり、頻尿になります。おもな原因は、加齢や肥満によって骨盤内の膀胱や尿道、子宮、直腸などを支える骨盤底筋がゆるむため。骨盤底筋体操や薬物療法、手術で改善が可能です。骨盤底筋がゆるみ、骨盤内の臓器が膣からはみだす「骨盤臓器脱」で頻尿になることもあります。


■細菌性膀胱炎(女性に多い)

尿道から侵入した細菌によって膀胱に炎症が起こる病気。排便時のふき方や性行為で尿道口が不潔になると細菌が侵入しやすく、過労やストレスで免疫力が低下すると感染しやすくなります。おもな症状は「頻尿」や「排尿痛」など。抗菌薬を服用し、水分を多くとれば1週間ぐらいで改善します。


■間質性膀胱炎(女性に多い)

膀胱に原因不明の炎症が起こる病気で、尿検査では異常が見られません。激しい「頻尿」や「尿意亢進」「膀胱の痛み・不快感」などがあります。尿がたまると痛みが生じるのが特徴で、細菌性ではないため抗菌薬も効きません。膀胱が萎縮しやすいため、膀胱水圧拡張術や薬物療法、食事療法などで改善を目指します。


■前立腺肥大症(男性にみられる)

前立腺の内側の部分が肥大する病気で、発症には加齢や男性ホルモンが関係しています。「頻尿」は代表的な症状で、「排尿困難」や「切迫性尿失禁」などもみられます。前立腺がんと症状が似ているため、前立腺がんでないことを確認したのち、早期であれば生活習慣を改善し、経過観察します。悪化してきた場合は薬物療法や手術などで改善を目指します。



監修者プロフィール

岡田 邦夫 OKADA KUNIO

プール学院大学教育学部教育学科教授、健康・スポーツ科学センター長。大阪ガスグループ健康開発センター 統括産業医。糖尿病などの生活習慣病、メンタルヘルス、スポーツ医学など幅広い専門分野をもち、長年にわたり健康指導や講演など多方面で活躍している。著書も多数出版。

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