12月:今年は温泉初詣♪
「今年の初詣はどこにいこう」と考えている方、温泉に出かけませんか?古くからの温泉地には温泉にゆかりの深い神社や寺があります。
温泉の神様とは?
日本では古来より八百万の神々がいるといわれますが、じつは温泉にも神様がいます。神様の名前は、少彦名命(スクナヒコナノミコト)と、大己貴命(オオナムチノミコト)。少彦名命は名前の通り手のひらにのるほどの小さな神様で、温泉だけでなく酒や医薬の神としてもあがめられています。大己貴命は、大国主(オオクニヌシ)ともよばれる神様界のスーパースター。農業、医療、縁結びなどで広く信仰を集めてきました。日本中を旅した2神が各地で温泉を発見したとされ、歴史ある温泉地には彼らを奉った神社が多く見受けられます。
いっぽう、温泉地の寺では、「医薬の仏」とされる薬師如来を本尊とすることが多いようです。いずれにしても温泉が体を元気にしてくれることから、病を取り除く力のある神仏が「湯の神」として奉られたのでしょう。今年は温泉地で、1年の幸運と無病息災を祈願しませんか。
有馬温泉の正月行事
関西で温泉初詣といえば、やはり有馬がおススメ。温泉街を見守るように、湯泉(とうせん)神社や温泉寺があり、さらに境内に源泉のある天神社などお参りスポットには事欠きません。ただし、初詣は元日ではなく、翌日にしましょう。有馬では、正月2日に江戸時代から続く入初式(いりぞめしき)を、寺社合同で催します。これは、有馬温泉を発見した大己貴命と少彦名命、有馬温泉を再興した仏僧の行基と仁西に感謝し、街の繁栄を祈る儀式。神社のご神体と、2僧の木像を輿に載せて会場まで運び、湯女(ゆな)が湯もみして冷ました初湯を像にかける沐浴、湯女による祓い行事、歌や舞の披露など、見どころも多く、神戸市の地域無形民族文化財にも認定されています。ちなみに共同浴場は初湯を奉ったあとに営業をはじめます。初詣は2日がよいわけ、もうおわかりですね。
関西近郊の温泉寺社
お参りのあとは温泉でほっこり、そんな贅沢ができるおすすめスポットを紹介します。
温泉名 | 寺社 | 特色 |
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城崎温泉 (兵庫県豊岡市) |
温泉寺 | 大師山の中腹にある城崎温泉郷の守護寺。城崎温泉を開いた道智上人が開創。大みそかには除夜の鐘つきができ、そばのふるまいもある。 |
四所(ししょ)神社 | 城崎温泉の守護神、湯山主大神を主祭神に祀る。外湯「御所の湯」の横にあるので、初詣のあとすぐに初湯が楽しめる。 | |
湯村温泉 (兵庫県美方郡) |
正福寺 | 天然記念物「正福寺桜」が有名。湯村温泉を開湯したといわれる慈覚大師円仁を安置している。大みそかには除夜の鐘つきができる。 |
八幡神社 | 地元ではイボを取ってくれる「イボガミ様」と親しまれる。縁結びや子宝にご利益がある御神木の「夫婦杉」がある。 | |
赤穂温泉 (兵庫県赤穂市) |
伊和都比売神社 | 目の前はすぐ海という場所にあり、航海安全や縁結びの神様として信仰されている。初日の出と初詣がセットで楽しめる。 |
大山寺温泉 (兵庫県神戸市) |
太山寺 | 本尊は薬師如来と十一面観音。藤原鎌足の長男・定恵が開山し、本堂は国宝建築物。除夜の鐘つきは百八つ以降もOK。 |
犬鳴山温泉 (大阪府泉佐野市) |
犬鳴山七宝滝寺 | 開山は修験道の開祖である役小角。真言宗犬鳴派の大本山で今でも全国から行者が修行に集まる。運勢向上、願望成就で人気。 |
京都桂温泉仁左衛門の湯 (京都市西京区) |
三宮神社 | 樫原地区の総鎮守で境内には、地名のもとになった樫の古木がある。拝殿の天井画「酒呑童子の鬼」と「禁門の変」は有名。 |
榊原温泉 (三重県津市) |
射山神社 | 「枕草子」にも登場する榊原温泉の中心部にある。境内には、触れば良縁に恵まれるという「大黒さまの恋こ槌」があり女性に人気。 |
林性寺 | 戦国時代の榊原氏の菩提寺。室町時代の僧、明兆作の猫の描かれた珍しい「釈迦涅槃図」が有名で、毎年春に公開される。 |