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7月:カラフル温泉の魅力

温泉の中でも人気が高い「茶」「白」「緑」「青」などの色つき温泉。今回は温泉の色にまつわるアレコレを紹介します。

温泉に色がつく理由(わけ)

色つき温泉に体をひたしたら、湯口で温泉をすくってみてください。「あれ?透明」と不思議に思われるかもしれません。実は、ほとんどの温泉は湧きだしたときは無色透明。湯の中に含まれる成分が、空気に触れて酸化することで、濁って色がつくのです。たとえば、含鉄泉は湯の中の鉄分が酸化して赤褐色に変化します。
もう1つの要因は光の力。湯の中の成分に太陽の光が当たって拡散すると、人の目には乳白色や薄い青色などに見えます。
同じ温泉でも季節、時間帯、天候、湯のコンディションなどで色が変わります。湯の峰温泉「つぼ湯」(和歌山県)は、湯の色が1日7回も変わるといわれています。数年前、入浴剤で湯を白く見せていた温泉旅館が問題になりましたが、きっかけは温泉が白濁しなくなり「イメージと違う」と客から苦情が殺到したためでした。それだけ視覚が与えるインパクトが大きいといえますが、温泉に色がつくのは湯が自然の恵みであり、生きているという証し。一期一会の湯との出会いを感謝しつつ楽しみたいものです。



色いろ温泉の紹介

茶

茶色の湯は含鉄泉に多くみられます。「婦人の湯」ともよばれ、貧血、月経障害、冷え性などの症状に効き、飲用では貧血に効果があるといわれます。含鉄泉の規定値を満たす温泉は少なく、貴重な泉質といえるでしょう。有馬の金泉が有名で、関西人なら「温泉=茶色」をイメージする人も多いかもしれません。
・温泉地 有馬温泉(兵庫)花山温泉(和歌山)須賀谷温泉(滋賀)

白

乳白色の湯は火山地帯の硫黄泉に多くみられ、湧出時は透明で酸化して白く濁ってきます。独特の匂いと色で人気が高く、動脈硬化症、高血圧、アトピー、疥癬などに効くといわれます。飲用では高コレステロール血症に効果があるなど薬効の高い泉質ですが、その分刺激が強く入浴・飲泉には注意が必要です。
・温泉地 白骨温泉(長野)奥日光湯元温泉(栃木)雲取温泉(和歌山)

緑

温泉から析出された粒子が光を散乱して青くなり、そこに温泉に含まれる黄色の成分が合わさると神秘的な緑色になります。泉質は硫黄泉やナトリウム塩化物強塩泉などで、色合いは濃いエメラルドグリーンから薄緑色までさまざま。関西からは遠隔地が多いですが、見る価値、つかる価値は十分あります。
・温泉地 国見温泉(岩手)熊の湯温泉(長野)奥飛騨ガーデンホテル焼岳(岐阜)

黒

黒い液体といえば石油が思い浮かびますが、黒い温泉も天然油成分であることが多く、モール臭がすることもあります。太古の植物が腐食し堆積した地層から湧き出ており、色の元はフミン酸という物質。数センチ先も見えない真っ黒なものから、ウーロン茶のように透明感のあるものまでさまざまです。
・温泉地 黒湯温泉(東京)十勝川温泉(北海道)


監修者プロフィール

天野 勢津子 AMANO SETSUKO

温泉ソムリエ、イラストライター
関西を中心に数多くの温泉を取材する。温泉の魅力を伝えるとともに、多くの人に温泉で元気になってもらうため「温泉の知識」を広げる活動をしている。

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