11月:温泉分析表を読んでみよう
温泉場の脱衣場で目にすることが多い温泉分析表。「難しいから読まない」という人も多いですが、ポイントを押さえて読めばカンタンに貴重な情報が得られます。
温泉分析書って?
まずは「温泉のプロフィール」ともいえる温泉分析表について解説しましょう。温泉分析表は「温泉分析書」と「温泉分析書別表」で1セットです。前者には所在地、温泉名、泉温、湧出量、ph、化学成分、泉質などが、後者には禁忌症、適応症、注意事項などが記載されています。細かい字で読みづらいこともありますが、温泉の個性が見える貴重な情報源です。ぜひ、トライしてください。
温泉分析書のチェックポイント
温泉分析書でチェックしたい6つのポイントをまとめました。
項 目 | 記載例 | チェックポイント |
---|---|---|
湧出、揚湯地 | 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地 | 施設場所から離れていれば、運んだり引き湯をしたりしているので、温泉の鮮度が下がっていることもある。 |
温泉の泉質 | ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 | 温泉の含有成分で泉質名が決まる。基本的に前に書いてあるものほど成分が濃い。左の例では、陽イオンではナトリウムが、陰イオンでは硫酸塩が濃い。 |
泉温 (源泉温度) |
42℃以上 高温泉 34~42℃未満 温泉 25~34℃未満 低温泉 25℃未満 冷鉱泉 |
温度が高いほど温泉が濃い傾向にあるが、時間をかけて冷ましたり、加水したりして成分が薄まっていることも。一方、温度が低いと加温の必要があり、二酸化炭素泉や放射能泉などデリケートな泉質では本来の成分が失われやすい。 |
pH | ・pH2~3 酸性 ・pH3~6 弱酸性 ・ph6~7.5 中性 ・pH7.5~8.5 弱アルカリ性 ・pH8.5~10 アルカリ性 ・pH10~ 強アルカリ性 |
pHは水素イオンの濃度。 pH7.5以上だと、肌の角質を取る働きで肌はツルツルの美肌に。入浴後は乾燥を防ぐための保湿ケアが必要。酸性の温泉は殺菌効果があり、皮膚病によいとされる。肌の引き締め効果も。 |
成分総計 | 1.2g/kg | 温泉1kg中に含まれている物質の総量。 左の例を家庭風呂200Lで計算すると200×1.2g=240gの成分が入っていることに。市販の入浴剤1袋(20g~30g)に比べて10倍近い量になる。 |
適応症 | ・一般的適応症 神経痛、筋肉痛…… ・泉質別適応症 切り傷、冷え性…… |
泉質名のつく温泉すべてに共通なのが「一般的適応症」。それぞれの温泉成分による効果が「泉質別適応症」。飲用の適応症もあるが、飲用できる温泉は少ないのが現状。 |
上にあげた点をチェックすれば、その温泉の性格が大まかにわかります。温泉に入る前に予想を立ててみるのもおもしろいですよ。
温泉の加温・加水・ろ過・添加を考える
温泉分析書とともに、掲示義務のある4つの項目があります。「加温」「加水」「ろ過、循環」「添加」で、それらを行っている場合は「源泉温度が低いため加温」など、理由を明記する必要があります。温泉分析書が源泉の素顔だとすれば、この4項目は源泉のメイクについて書かれています。
いずれの温泉がよいか悪いは一概には判断できません。泉質重視の人、設備重視の人など、好みはさまざまです。自分好みの温泉を選ぶ参考にしてください。