6月:げんき&美しくなる温泉作法
体によいはずの温泉も、誤った入浴方法によって逆に健康を損なったり、ケガをしたりするおそれがあります。今回は、温泉を安全に楽しむだけでなく、入浴効果もアップする「温泉作法」の紹介です。
温泉がキケンになるとき
入浴事故の主な原因は「血圧の乱高下」と「血流の変化」です。脳卒中や心筋梗塞などをひきおこすデンジャラスポイントは4つ。1つめは湯につかった直後の血圧の上昇。この反応は湯温が高いほど大きくなります。2つめは、体が温まり血管が広がることでおこる血圧の低下。湯の中で意識を失ってしまうこともあります。3つめは入浴中の発汗。汗をかいて体内の水分が減ると、血液がドロドロになり血栓ができやすくなります。4つめは、湯から出るとき。急に立ち上がると血液が一気に下半身に下がり、めまいがおこることがあります。なお、これは、家のお風呂でも注意したいポイント。さらに家では脱衣場や風呂場が冷えていることが多く、浴室との寒暖差にも注意が必要です。
事故の多くはお年寄りですが、若い人でも油断大敵です。次章で紹介する安全な入浴作法をマスターして、いくつになっても安全で楽しい温泉ライフを送りましょう。
温泉を安全&効果的に楽しむ「入浴作法10か条」
- 入浴前後はコップ1杯の水を飲む
体の水分が蒸発して、血液がドロドロになるのを防ぐため、入る前も入ったあとも忘れず水分補給をする。 - かけ湯は足先から十分に行う
体の汚れを落とすだけでなく、血圧の急上昇をふせぐため湯に体を慣らす効果も。足先から順に、しっかりかける。頭にかけると立ちくらみの防止にも。 - 頭には濡れタオルをのせる
冷たいタオルを頭にのせておくと、のぼせ防止に効果あり。なるべく頭全体をおおうようにする。 - 半身浴からはじめる
一気にドボンと肩までつかると水圧や温度の刺激で体への負担大。ゆっくりと入り、半身浴で体を慣らしていく。 - 長湯はしない
体に負担がかかる長湯は避け、5分入ったら休憩するなど、短時間の入浴と、休憩を繰り返す分割浴にする。半身浴もよい。 - 入浴方法は指示に従う
泉温や泉質によって効果的な入浴方法は千差万別なので、つかる前にチェックする。ただし無理はせず、自分のペースで楽しむ。 - 体は手で洗う
温泉は角質や汚れを落とす効果が高く、タオルを使うと肌をいためる場合がある。手で優しく洗うのがよい。 - 湯船を出るときはゆっくりと
勢いよく立ち上がると、立ちくらみやめまいを起こすことがある。ゆっくりと立ち上がる。 - 上がり湯はしない
上がり湯をするとせっかくの温泉効果を洗い流してしまう。代わりに温泉にひたして絞ったタオルでふくとよい。
※酸性泉など刺激が強い泉質の場合や、循環の湯の場合は洗い流す - 体は浴室でふく
髪や体についた水滴は、蒸発するときに皮膚の水分や体温を奪ってしまう。乾燥&湯冷め防止には浴室で体をふくとよい。ゴシゴシこすらずタオルに水分を吸わせるように優しく。
お風呂あがり、のどが渇いていてもすぐのお酒はダメ。水分補給はスポーツドリンクや水にしましょう。入浴は意外に体力を使うので、血圧を落ち着けるためにも、できれば30分ほど休憩してリラックスしてください。最後に「気持ちよかった」「元気がでてきた」と思えたなら、入浴作法は完璧です。