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10月:部下を育てるテクニック

音無しずか
言うこと聞いてくれない後輩にホトホト困っているのよ。
押野ツヨシ
しずちゃん、優しいからナメられてんだよ。ガツンと言ってやれ!
秀吉部長
あきらめるな!相手に期待すれば変わることがあるぞ。

戦国時代のスーパー上司

「言うことを聞かない」「仕事が遅い」イライラする同僚がいるじゃろう。こういう輩がキビキビ動くようになれば、あなたのストレスも軽くなるはずじゃ。「アイツを変えるなんてムリ!」とあきらめているあなたに、戦国時代屈指のスーパー上司の話をしよう。
その男の名は立花道雪(たちばなどうせつ)。九州の武将で「ダメな部下などいない!もしいるとすれば、それは大将が励まさないから悪いのじゃ。ワシのところに来たら、みんな手柄を立てる!」と豪語した男じゃ。実際、道雪の部下は、戦で手柄を立てる者が多かったという。今回は、彼の行った部下育成術を紹介するぞ。

動かない部下には「期待」をかける

道雪の部下に、戦で目立った働きがなく、仲間にも陰口をたたかれる男がいた。道雪はその男を呼びだし「戦は運・不運があるもの。お前のことはちゃんと見ている。くれぐれも手柄を焦って討ち死になんてするなよ」と話したという。部下の感激は大きく、つぎの戦いではめざましい活躍をみせた。道雪は「オレの目に狂いはなかった!きっとヤル男だと思っていた!」と家臣の前で大いにほめたという。
道雪の部下育てのコツは、相手に「期待をかける」ことじゃ。人はだれかに期待されていると感じると、それに応えようと行動し、その結果、相手の期待通りの成果をあげる。これを心理学で「自己成就予言」とよぶ。「あなたキレイね」なんてホメられて、身だしなみに気をつけるようになり、どんどんキレイになるのも同じ理屈じゃ。
自信のない部下に、ハードルの低い仕事を与えて、できたときの達成感を経験させる。やる気の薄い部下に、難しい仕事をさせて、上司としてフォローする。仕事ができたときに「期待していた通りだよ!」とホメれば、部下に自信とやる気が出てくるぞ。


部下への気遣いを欠かさない

仕事の業績をあげたければ、部下への気遣いを大切にするべし。あるとき道雪が開いた酒宴の席で、ひとりの部下が料理の膳をひっくり返してしまった。道雪は「畳の上での粗相(そそう)は主の責任」と客に詫び「この者は畳の上では無作法ですが、戦になると勇敢で・・・云々」と部下をほめ、恥をかかさなかったという。窮地に陥ったときの恩を、人は忘れんものじゃ。また、公の場で部下を責めない姿勢は、ほかの部下の心にも響き、客人も「さすがは道雪」となったはずじゃ。
道雪は、じつは幼いころのケガがもとで下半身不随であった。輿(こし)に載って戦場へ突進する道雪を、部下は命がけで守り、敵を攻めたんじゃ。「軍神」とも称えられる道雪の強さは、部下の働きなくして生まれなかった。そして、主従の絆は、道雪の部下への気遣いで育まれたものなんじゃよ。


音無しずか
まずは、自分から部下に目をかけてあげるってことですね。
押野ツヨシ
好きな人には、自分のいいトコ見せたくて、ついガンバっちゃうもんな。
秀吉部長
自己成就予言は、自分自身でやっても有効じゃぞ。試してみるべし


監修者プロフィール

天野 勢津子 AMANO SETSUKO

男女共同参画センター情報アドバイザーとして13年間勤務。
年間300件を超える情報相談に応じ、「職場の人間関係」「ハラスメント」「コミュニケーション」など、さまざまな悩みやトラブルを抱える人たちを支援。
現在は講師としても活動中。

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