9月:説得力アップの会話術
- いいところをがっつり伝えたのに断られちゃったんだよ。
- うーん。いいことずくめだと逆に裏がないかと疑ってしまうかも。
- その通り。デメリットもいっしょに伝えるほうがいいときもあるんじゃ。
販売員が使う交渉テクニック
セールス世界のテッパン説得法が『片面提示』と『両面提示』じゃ。ビジネスシーンでも、人間関係の場でも重宝するスキルなので覚えて損はない。
スマホやパソコンを買いに行くと、たいてい販売員が最新機種をすすめてくるじゃろう。そのとき「使い勝手がよく、料金も安いです」などプラス面だけをアピールするのが『片面提示』。「ネットの通信速度が少し遅めですが、使い勝手がよく料金も安いです」など、マイナス面とプラス面をあわせて相手に伝えるのが『両面提示』じゃ。
『片面提示』『両面提示』の使い分け
片面提示は、相手がその商品ついて知識が少ない場合に効果が高い。たとえば、携帯電話を買いに来た高齢者に「この機種は安いですが、ネットの通信速度が遅めです」と伝えたとしよう。「え、ネットってなんじゃ?欲しいのは電話じゃよ」なんて混乱する可能性が高い。人によっては、情報を伝え過ぎないことが親切というわけじゃ。最初から賛成意見の人にも片面提示がよい。やる気満々の人に水を差す必要もないからのう。また、押しに弱い人にも有効といわれておるぞ。
一方の両面提示。わざわざデメリットを伝えなくても・・・と思う人も多いかもしれん。だが、最初に欠点を言うことで「この人は正直な人だ」という印象を与えることができる。相手はこちらを信頼し、購入に前向きになる。両面提示は、その商品についてある程度詳しい人や、商品に批判的な意見の人に効果が高い。「正直は最善の策」というわけじゃ。両面提示のコツはたった1つ。先にデメリットを伝え、あとからよい点をアピールすること。カンタンじゃろ?
戦国武将VS商人の勝敗
戦国時代に武将が被った兜(かぶと)。命を守るだけでなく、武将の威厳の象徴でもある。ならば、だれもがカッコよく凛々しいものを身につけたいと思うはず・・・が、なぜかイセエビやホタテが載っている海鮮兜や、ウサ耳、ゲジゲジなど、思わず吹き出すトホホ兜がたくさんあるんじゃ。ひょっとすると、そこには商人たちの両面提示テクがあったのかもしれん。
武将「巨大トンボが逆立ちした兜など被れるか!笑いものじゃ!!」
商人「トンボの習性をご存じでしょうか?まっすぐ前を向き休みなく羽ばたく。努力と注意深さの象徴といわれております。まさに殿様でございます。」
武将「わし、とな?」
商人「さようでございますよ。また、この兜は少々重くて派手なので万人向けではありません。殿様のように力と華のある方だけが被ることができるのです!この兜で戦に出れば、皆の視線が殿様に釘付けになること間違いなしでございます!!」
武将「あっぱれ!買った!!」
- そういえば、販売員さんの感じがよかったからって買ったことあるわ。
- 逆のパターンもあるな。グイグイいくだけじゃダメってことか。
- 前もって欠点を伝えることで、あとあとのクレーム回避にもつながるぞ。