わかりにくい嫌がらせ
「モラルハラスメント」
- カレーセットお待たせしました。
- またまた相談に乗っていただけませんか。今度、職場の「モラルハラスメント」(以降:モラハラ)についての研修をやろうと思っていまして。
- パワハラやセクハラに比べるとわかりにくいテーマね。
- それだけに被害を訴えても理解されにくいし、被害者本人も自分がハラスメントを受けているとわからないまま苦しんでいることも多いそうですね。だから研修でモラハラについて知ってほしいなあと。
- 相変わらず、すばらしい姿勢だわ。よし、では、モラハラについてまとめていきましょう。
モラルハラスメントとは
モラルハラスメントとは、フランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱した言葉。言葉や態度によって相手の心を傷つける精神的な暴力のことをいい、職場におけるモラル・ハラスメントは、不当な行為(身振り、言葉、態度、行動)によって、被害を受けた人の尊厳を傷つけ、心身に損傷を与え、その人の雇用を危険にさらすこと。また、そういったことを通じて職場全体の雰囲気を悪化させることをいう。
職場のモラハラの特徴
・殴る蹴るなどの身体的暴力はない。
・言葉や態度などで精神的な苦痛を与える。
・上司だけでなく同僚や部下からも行われる。
・周囲の人に気づかれにくい。
加害者になりやすいタイプ
・自己愛が強い。
・自分が正しいとの思い込みがある。
・支配することに喜びを持ち、罪悪感を持たない。
被害者になりやすいタイプ
・真面目で、他人に優しい。
・場の空気を読む。自己主張が弱い。
・なにかあると「自分が悪いのでは」と罪悪感を持つ。
モラハラの例
仕事にかかわる嫌がらせ
・被害者の意見にことごとく反対する。
・こなせない量の仕事を押しつける。
・能力を超えた業務をさせる。
・理由もなく担当をはずす。
・業務に必要な情報を与えない。
加害者は「あの人ならこれくらいできるはず」などと周囲に伝えることで悪意を隠蔽。被害者に「自分は能力がない」と思わせると同時に、周囲に「あの人は仕事ができない」と思わせる。
人間関係からの切り離し
・挨拶をしても無視をする。
・職場の食事会に誘わない。
・1人だけおみやげを渡さない。
・ほかの人だけに話しかける。
・会議に出席させない。
指摘しても「うっかりしていた」「気にしすぎ」などと悪意を否定。繰り返し行われることで、被害者は大きなダメージを受ける。
- あからさまないやがらせだと周囲もわかるんだけど、モラハラの加害者は隠ぺいがうまいのよ。だから被害者自身ですら「自分が悪い」と思ってしまう。
- ううーっ。こんなハラスメントがまかり通ることは許せません!!研修でしっかり勉強してもらいます。
- 根賀さんならおわかりと思うけど、モラハラを受けた場合の対処方法も伝えてあげてね。まずは「きちんと記録を残すこと」。つぎに「信頼できる先輩や上司に相談すること」ね。最後に社内の相談窓口とあわせて自治体などの外部相談窓口の情報も伝えてあげて。
- 承知しました!
- モラハラは説明がむずかしくて、周囲に相談したとしても「気にしすぎ」なんて二次被害を受けて、さらに傷つく結果になったりすることもあるの。だから、研修というかたちで一斉に学ぶことは予防策としても被害対策としてもすごく有効だと思うわ。
- そう言っていただけると、ますますやる気がわいてきました。さっきカレー食べちゃったけど、ハムサンドもらっていいですか。
- ありがとうございます♪ドリンクはサービスするわ。しっかりがんばってね。