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運動のある暮らし運動で高血圧を予防して
健康の秋を深めよう

運動のある暮らし 運動で高血圧を予防して健康の秋を深めよう

食欲の秋がはじまり、年末年始に向けて高カロリーや塩分の多い食事をとる機会が増えます。あわせて気温の低下により血管が収縮しやすくなるため、血圧は上昇傾向となります。高血圧は食事、運動、体重、ストレスなどの生活習慣の改善で正常範囲に降圧することが可能です。今月は高血圧の予防や改善のための運動習慣を紹介します。

生活習慣は運動から
総合的に変えていく

高血圧は加齢や遺伝だけでなく、食塩の過剰摂取や運動不足などの生活上の悪習慣が大きく影響するため、生活習慣全般を見直し、高血圧の予防や改善に努めることが大切です。運動習慣がきっかけとなって、総合的な生活習慣の改善につながり、高血圧の症状を緩和、解消することが望めます。

高血圧ってどんな症状?

高血圧とは、血液が動脈の血管壁に強い圧力をおよぼした状態のことで、正常な血圧は、収縮期(最高)血圧/拡張期(最低)血圧が120/80mmHg未満ですが、収縮期が140mmHg以上、または拡張期が90mmHg以上になると高血圧になります。血圧の数値が高くなればなるほど、心臓病や脳卒中などのリスクが高くなります。そのため、高血圧になると生活習慣の改善や降圧治療が必要になります。


高血圧については「クイズで学ぼう病気のリスク 高血圧」を参照

      • ※出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

筋肉を動かして血管にも運動を

運動で筋肉を動かす際は多くの酸素を必要とし、心臓から送り出された酸素を含むたくさんの血液を血管が伸び縮みを繰り返しながら、体全体の筋肉に運びます。つまり、運動を行うと私たちの体がほぐれるように、血管も伸び縮みの運動を行うことで柔軟になり、血流の圧力が和らいで血圧が下がるという仕組みです。運動により心肺機能も高まるため、血液をより全身へ送りやすくなり、結果的に降圧効果につながるのです。

運動時の発汗も降圧効果の一つです。塩分のとりすぎは血圧を上げる大きな要因ですが、運動することで、体内の塩分が汗とともに排出され、血液を含めた体液量が減って血圧を下げます。血液中の塩分が減ることで腎機能も改善されるため、さらに不要な塩分を排出しやすくなります。
また、運動は脳内でも効果を発揮します。運動による脳内への刺激がホルモン分泌を整え、ストレスの軽減や血圧を上げようと働く交感神経の緊張を抑えて血圧が安定します。さらに、血糖値を下げるインスリンの作用にも働きかけることで血糖値の安定と並行して血圧の上昇も防ぐことができます。このように運動による降圧効果は非常に有効です。

高血圧の予防・改善に
効果的な運動

高血圧の予防・改善には有酸素運動が有効であり、ベースとなります。筋トレ(レジスタンス運動)を組み合わせることで、より高血圧を改善する効果が期待できます。どのように進めていけば十分な効果が得られるのか、運動に取り組む際のポイント・注意点を紹介します。

有酸素運動

有酸素運動は酸素を体内に多く取り込むことができ、血液の循環を促進します。とくに高血圧の人にとって、収縮期・拡張期ともに血圧を下げる効果が認められています。
具体的には、ウォーキング(速歩)やステップ運動(踏み台昇降)、ジョギングやランニング、ダンスなどがあります。
コンスタントに施設や器具を利用できるのであれば、水泳やエアロバイクなどもおすすめです。継続しやすい運動を生活の中に取り入れましょう。

頻度
毎日30分以上運動を行うことが望ましいです。10分の運動を3回に分けたり、15分の運動を2回に分けたりしてもかまいません。1回につき、10分以上継続できる運動を取り入れましょう。毎日行うことが理想ですが、難しい場合でも週に3~4日は行いましょう。
強度
高強度の運動は血圧を著しく上昇させるため、「軽く汗ばむ」「息が少しはずむ」あるいは「ややきつい」と感じるくらいの中等度の運動(最大酸素摂取量の50~60%程度)が適しています。

筋トレ

適度な筋トレは体力向上や代謝改善以外にも、血管の柔軟性を高め、心血管の健康に良い影響を与えます。ただし、負荷が高すぎる場合は、一時的に血圧が上昇するため、トレーニングを行うにあたっては、適切な強度と正しいフォーム、呼吸法を守ることが大切です。
高血圧の人には、心臓に過度な負担をかけない程度で、全身の筋肉をバランスよく鍛えられる運動が適しています。軽い負荷で繰り返し行えるスクワット(下肢の筋トレ)など軽~中強度の運動で全身を強化していくのがおすすめです。

レジスタンスバンドを使ったトレーニング

レジスタンスバンド(抵抗バンド)は、リハビリ用に使用されていました。重いウエイトとは異なり、腰や関節に無理な負担もかけません。ゴムの太さやバンドを握る位置・長さによって負荷を調整できるので、初心者から上級者まで使用できます。筋トレ時にレジスタンスバンドを使用すると、軽い負荷で筋肉に抵抗をかけることができます。筋力の向上に効果的でありながら、重いウエイトと異なり、血圧に過度の影響を与えないため、高血圧の人に適した心臓に優しいトレーニングです。

 

レジスタンスバンドの強度
強度は3~5のレベルがあります。強過ぎるバンドは正しく行えなかったり、けがをしたりする可能性がありますので、初めて使用する人は負荷の軽いものから、必要に応じて強度を上げていきましょう。

  • ※強度の種類はメーカーによって異なります。
メニュー
  • バンドスクワット
    お尻や太ももの裏側、太ももの表側など、大きな筋肉を鍛えらます。全身を効率よく筋力アップさせることで基礎代謝が上がり、血圧を下げる効果が期待できます。
  • バンドヒップリフト
    お尻や太ももの裏側、背中が鍛えられ、体幹を安定させて全身のバランスを整えます。寝転んで行えるため、心臓への負担も少なく、高血圧の人にもおすすめです。
頻度
週2~3回を目安
血圧コントロールのための注意
  • 過度な頻度で行うと回復が追いつかず、体に負担がかかることがあるため、適切な頻度で行う。
  • 血圧の急激な上昇を避けるため、軽めの負荷から始める。
  • 息を長時間止めたり、いきんだりしないで、呼吸をしっかり行う。
  • 休憩を適切に取り入れる。
  • 速い動作は血圧を上げる可能性があるため、ゆっくりとした動作で安定したペースで行う。

急激な血圧の変動を防ぐために、
運動の前後はウォームアップ・クールダウンを!

急激な血圧の変動を防ぐためには、呼吸を意識しながらできる運動が効果的です。ストレッチやリラクゼーションタイプのヨガなどの柔軟運動はストレスを軽減し、血圧を安定させる効果があります。クールダウンに利用すると効果的でしょう。

運動前後の確認・注意

すでに高血圧の症状を認める人は、以下の点を必ず確認してから運動を行ってください。

医師の許可を得る
薬を服用している場合はもちろんのこと、運動を始める前に必ず医師に相談し、自分の健康状態に適した運動を確認する。
低強度の運動から
ストレッチ、ウォーキングやスイミングなどの継続しやすい有酸素運動を中心に、体への負担が少ない低強度の運動から始める。慣れてきたら、様子を見ながら、または医師と相談しながら少しずつ負荷を上げていく。
急激な運動は避ける
急に激しい運動や強度の高い運動を行うと血圧が急上昇するため、筋トレにおいては強度の高いものは控える。
十分な水分補給
体内で水分が不足すると血液が濃くなり血圧が上がりやすくなるため、運動中はこまめな水分補給を心がける。
運動時の体調観察
めまいや息切れ、胸の痛みなど不調を感じた場合は、すぐに運動を中止し、医師に相談する。
定期的な観察を
運動前後に血圧を測定し、自分の体の状態を観察しながら行う。日常と異なる数値が見られる場合は、無理をせず医師に相談する。

INFORMATION

監修 栁田 昌彦
同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科教授。筑波大学大学院体育研究科修士課程修了、群馬大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。公衆衛生学、老年医学、運動疫学、スポーツ栄養学などを専門分野とし、日本体力医学会評議員、日本循環器病予防学会評議員などを務める。京都府学校剣道連盟副会長、京田辺市健康づくり推進協議会委員長として社会活動を行うなど、多方面にわたって活躍。主な著書に『スポーツ医科学』(中央法規出版)、『健康教育マニュアル第2版生活習慣病予防の保健指導』(日本家族計画協会)など多数。
運動指導 平田 一恵
保健体育教諭。筑波大学体育専門学群卒業後、約30年にわたり小・中・高等学校にて運動指導を行う。近年は、JHHCAホームヘルスコーチや健康管理士一般指導員、ピラティスインストラクターといった資格を生かし、中高年の運動および健康指導へも活動領域を広げている。
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