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犬との暮らしが認知症を防ぐ?世界初の研究でわかった「愛犬との健康長寿」

世界初の研究でわかった「愛犬との健康長寿」

認知症は誰もが発症する可能性のある疾患です。認知症のリスク低減について、さまざまな研究結果が報告されていますが、東京都健康長寿センターの研究チームは、犬の飼育が認知症発症リスクを低減することを2023年に発表[1]。世界で初めて、ペット飼育と認知症発症の関連性を明らかにしました。

犬との暮らしがもたらすメリット

フレイルリスクは約2割減、要介護・死亡のリスクは約5割減

犬を飼育する人は「フレイル(加齢に伴い、筋力や心身の活力が低下し、要介護になりやすい状態)」になるリスクが約2割、要介護や死亡のリスクも約5割減少することがこれまでの研究でわかっています。

フレイル発生リスク
自立喪失(要介護or死亡)発生リスク

介護保険サービス利用額は約半額

東京都健康長寿医療センターの調査では、ペットを飼っている人の介護保険サービス利用額はペットを飼っていない人の約半額であることが示されており、ペット飼育による規則正しい生活が心身の健康や家族・地域社会との関係性を維持し、利用額の低下につながったのではないかと研究チームは見立てています[2]。

月額介護サービス利用費

犬を飼育すると高齢者の認知症発症リスクは約4割減に

ペット飼育と認知症発症の関連性に関する論文[1]では、疫学調査(調査対象:東京都在住の要介護認定を受けていない65~84歳の男女約1万1,200人〔平均年齢74.2歳〕)のデータを基に解析が行われた結果、 「犬を飼育する高齢者は飼育していない人に比べて、認知症発症リスクが約4割減」「犬を飼っている人のうち、運動習慣がある人や社会的孤立状態にない人は、認知症発症リスクがさらに低い」こともわかりました。

なぜ、犬と暮らすと認知症発症リスクが低くなる?

では、犬を飼っている人のどのような点が認知症発症リスクを下げるのでしょうか。

ポイントは「散歩」と「社会参加」

研究結果によると、犬を飼っている人のなかでも運動習慣がある人ほど認知症の発症リスクが低いことがわかっています。また、犬を飼っている人と飼っていない人の双方に運動習慣がある場合でも、犬を飼っている人のほうが、認知症発症リスクがより低くなることも明らかになりました。

犬種にもよりますが、犬を飼うことで日々の散歩が習慣化しやすくなり、この「継続的な運動」が足腰の筋力低下の防止、脳の活性化につながっていると考えられます。

また、散歩中に出会った人と会話を交わしたり、ドッグランなど犬が集まる場所では、飼い主同士の交流が生まれたりすることもあります。犬を通じて社会とのかかわりをもつことが、高齢者が陥りがちな「社会的孤立」を防ぎ、認知症発症リスクを下げていると分析されています。

一方、猫を飼っている人の認知症発症リスクについては、研究結果では有意な差は見られませんでした。猫はおもに室内での飼育が中心で、飼い主に散歩などの日常的な運動習慣が生まれにくいことがその理由と考えられます。

犬を迎える前に知っておきたい暮らしの変化

大切なのは、「犬に愛情をもち、楽しみながら暮らすこと」

犬を飼うと、暮らしにはさまざまな変化が訪れます。気軽に旅行に出かけられなくなったり、エサなどの日用品やトリミング、去勢・避妊手術、ワクチン接種代といった費用がかかったり、犬のけがや病気で治療が必要になることもあります。

そして、飼い主自身も健康に気を配り、毎日の散歩を続けるために日ごろから体力をつけることが求められます。年齢を重ねると、通院や入院で家を空けることも考えられるため、犬を任せられる家族やペットシッターなどの目処をつけておくと安心です。

何よりも大切なのは、犬を大切に思う愛情です。犬を迎えると決めたら、終生飼育する覚悟をもち、犬種ごとの特性を理解しながら、毎日のふれあいやお世話を楽しみましょう。

犬との散歩や、犬をきっかけに生まれる社会とのつながりは、日々の暮らしに大きな楽しみや生きがいをもたらし、心身の健康維持にもつながります。ただし、犬を飼うには責任と十分な準備が欠かせません。迎える前には、犬との暮らしについて情報を集めたり、実際に犬を飼っている人に話を聞いたりしておくとよいでしょう。疑問や不安が生じた場合は、その都度、家族や医療機関、専門家に相談することが大切です。愛犬と楽しく過ごす毎日は、あなたと愛犬にとって、健康で幸せな暮らしにつながることでしょう。

Column
犬のお迎え前にはリサーチを

犬を迎える方法は4つあります。
自分に合った方法で犬をお迎えしましょう。

  • ペットショップ

気軽に訪れやすく、いろいろな種類の子犬見ることが可能。ワクチン接種や健康診断が実施されている店舗もあります。

  • 保健所、譲渡会、里親募集サイト

保護犬の譲渡が中心。成育環境や医療履歴が不明なケースも少なくないため、事前のチェックが大切です。

  • ブリーダー

繁殖で生まれた子犬を販売。血筋が明確で、親犬や兄弟犬を見学できる場合が多く、将来のサイズや性格を予想しやすいことが特徴です。

  • 友人・知人からの引き取り

自分や家族との相性を確かめやすく、性格や健康状態、フードの好みなどを直接聞けるので安心です。

◆参考文献
[1]Yu Taniguchi, et al. Protective effects of dog ownership against the onset of disabling dementia in older community-dwelling Japanese: A longitudinal study. Preventive Medicine Reports, 36, 102465, 2023
[2]Yu Taniguchi, et al. Pet ownership-related differences in medical and long-term care costs among community dwelling older Japanese. PLOS ONE, 18(1):e0277049, 2023.

INFORMATION

監修 谷口優
国立環境研究所 環境リスク・健康領域(環境疫学研究室)主任研究員、東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、医学博士。
2012年、秋田大学医学系研究科修了。米国老年医学会若手奨励賞など数々の賞を受賞。2023年よりメルボルン大学で研究。犬と一緒に安心して暮らせる社会の実現をめざす。
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