健康に過ごす

若年層で増加する
ヘッドホン・イヤホン難聴に注意!

若年層で増加するヘッドホン・イヤホン難聴に注意!

音楽や動画を楽しむときやオンライン会議に参加するときなど、ヘッドホンやイヤホンを利用する機会が増えています。その影響か、近年発症者が増加しているのが「ヘッドホン・イヤホン難聴(音響性聴器障害)」です。今回は誰もがなりうる耳の病気を紹介します。

世界中の若者の約半数が難聴予備群

若年層の難聴は世界的な問題。WHO(世界保健機関)は「12〜35歳の若者の約半数にあたる約11億人が難聴になるリスクをはらんでいる」と警告しています。国内で、2000年から2020年までに行われた聴力検査結果でも若者世代の聴力低下が明らかとなっており、20年前の同世代に比べ高音部(4000ヘルツ)の聴力が悪化していることがわかっています。

ヘッドホン・イヤホンで大音量は危険!

難聴予備群増加の原因の一つとされているのがヘッドホン・イヤホンの過剰な使用です。ヘッドホンやイヤホンは、耳の中に直接音が入ります。音漏れするほどの音量で聴く、長時間聴き続けるといった行為を繰り返すことが、『ヘッドホン・イヤホン難聴(音響性聴器障害)』の発症を招くと考えられています。

音の強さはdB(デシベル)という単位で表し、聴力正常な若者が聴きとれる最小の音の強さの平均を0dBとしています。数字が大きくなるほど音が大きいことを示し、例えば80dBという音量は、走行中の電車内や目の前のピアノの音量に相当するレベルです。ちなみに音量が10dB大きくなると感覚的には約2倍うるさく感じます。

WHOでは、成人では80dB(デシベル)で1週間当たり40時間以上、若年者(15〜34歳)では75dBで40時間以上になると、難聴の危険があると警告していますが、40時間未満ならば安心というわけではありません。難聴にならないための許容時間は音の大きさによって決まり、音の大きさが3dB大きくなるごとに、許容時間は約半分になるため注意が必要です。

参照:
WHO Make Listening safe

ゆっくり進行
だから「聴こえにくい」に気づきにくい

では、なぜ、大きな音を長時間聴くと聴力が低下するのでしょうか?聞こえの仕組みを紹介して、その理由を探りましょう。 耳の奥深く「内耳」の「蝸牛(かぎゅう)」という器官の内壁にある「有毛細胞」がさまざまな高さの音の振動を聴き分けて、脳に伝えることで音は聴こえます。つまり、有毛細胞が聴こえに大きな役割を果たしているのです。

音をキャッチする内耳の有毛細胞は非常に繊細で、大きな音を聴き続けると壊れてしまい、音の振動を受け取れないようになることがわかっています。一度壊れてしまった有毛細胞は放置されたままでは正しく働けない状態になりますが、ある日突然音が聴こえにくくなるわけではありません。少しずつ進行し、ゆっくり聴こえにくくなっていくので、「聴こえにくい」「音が聴き取れない」と自覚しにくく、聴力は低下したままになってしまうのです。さらに、進行の過程で、耳の詰まった感じ(耳閉感)や耳鳴りが伴うこともあります。

おかしいなと思ったら、医療機関へ

耳の違和感に気づいたら、すぐに医療機関に行くことをおすすめします。有毛細胞が壊れる前であれば、音量を下げる、定期的に耳を休ませるといった指導が行われます。また、投薬治療を行うこともあります。しかし、聴力を元に戻す治療法はまだ見つかっておらず、完治は難しいのが現状です。日頃から予防に努めることが大切です。

セルフケアについて

以下の点に気を配り、ヘッドホンやイヤホンを使いましょう。

  • 音量を下げ、大音量では聴かない

最大音量の60%以下の音量、または周囲の声や音が聴こえるぐらいの音量で聴くことをおすすめします。

  • 聴き続けず、休憩を挟む

有毛細胞を酷使すると、難聴リスクが高まります。ヘッドホンやイヤホンを使う際は1時間に10分、耳を休ませるようにしましょう。

  • ノイズキャンセリング機能付きヘッドホン・イヤホンを使用

周囲の会話などが入らないように音量を上げてしまうことで危険音量になる場合があります。周囲の騒音を低減するノイズキャンセリング機能付きのヘッドホン・イヤホンを使いましょう。

  • 音量制限や監視機能を活用する

スマートフォン・ヘッドホンなどについている音量制限や監視機能を利用してください。また、音量を確認できるアプリなどもあります。音量を平均80dB未満に抑えましょう。

『ヘッドホン・イヤホン難聴(音響性聴器障害)』は、誰もがなる可能性のある病気です。気が付かないうちに進行し、一度失われた聴力を改善することはできません。大音量で聴くことや長時間聴き続けることは避けて、耳の健康を保ちましょう。

INFORMATION

監修 細野研二
ほその耳鼻咽喉科院長。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会所属。奈良県立医科大学卒業後、奈良県・大阪府の総合病院で勤務し、同院を開院。地域医療への貢献に向き合う。
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