健康に過ごす

健康診断の盲点

健康診断の盲点

健康診断の結果でBMIや血圧、血糖値、中性脂肪値などが基準値から外れていても、「とくに症状がないから」と放置していませんか。自覚症状がなくても異常のある検査項目が複数あると、動脈硬化が進行して重症化するリスクが一気に高まります。検査数値の異常が重なることのリスクを知り、予防や改善に取り組みましょう。

検査数値が“やや高め”でも重なると危険

高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は血管にダメージを与える病気です。たとえ検査数値が「やや高め」程度でも、血管にダメージが起きます。軽度でも異常が複数ある状態が続くと血管へのダメージが重積して加速し、動脈硬化が進行します。
また、おなかまわりに内臓脂肪がついてくると脂肪細胞から血管に炎症を起こす悪玉のアディポサイトカイン(生理活性物質)が多く分泌され、血管を守る善玉のアディポサイトカインの分泌が減り、血管が傷つきやすくなります。悪玉のアディポサイトカインは血糖値や血圧、中性脂肪値などの上昇も引き起こします。
そのため、まだ病気と診断されるほどではなくても内臓脂肪の増加と血糖や血圧、脂質の異常が重なると動脈硬化が進行しやすくなり、虚血性心疾患や脳血管障害などの重大な病気のリスクが高まります。
研究では、肥満・高血圧・高血糖・脂質異常が1つもない場合に比べ、3〜4つ重なると約36倍も心臓病の発症リスクが高まると報告されています。

危険因子の数と心臓病の発症リスク
危険因子の数
(肥満・高血圧・高血糖・脂質異常)
出典:
労働省作業関連疾患総合対策研究班調査 Nakamura et al.jpn Cric J,65:11,2001

メタボはリスクの重なりを知らせるもの

内臓脂肪型肥満に加えて、高血圧・高血糖・脂質異常のうち2つ以上がそろう状態は「メタボリックシンドローム(メタボ)」とよばれます。これは血管にダメージを与える危険因子が重なり始めていることを知らせるものであり、メタボに着目した特定健診では血圧や血糖値、中性脂肪値などの基準値が低めに設定されています。危険因子の重なりを早期に見つけ、改善につなげるためです。
そのため、40歳になったら毎年特定健診を受け、検査数値の変化を見逃さないことが大切です。また、特定保健指導の案内があれば、積極的に保健指導を受けましょう。専門家から生活習慣改善のサポートを受けることで、動脈硬化などが重症化するリスクを効果的に減らすことができます。

特定健診の検査項目

身体計測

  • 問診
  • 身長
  • 体重
  • BMI
  • 腹囲
  • 身体診察
  • 血圧

血中脂質検査

  • 空腹時中性脂肪
  • 随時中性脂肪
  • HDLコレステロール
  • LDLコレステロール
    (non-HDLコレステロール)

血糖検査

  • 空腹時血糖
  • ヘモグロビンA1c
  • 随時血糖

肝機能検査

  • AST(GOT)
  • ALT(GPT)
  • γ-GT
    (γ-GTP)

尿検査

  • 尿たんぱく
  • 尿糖
  • ※医師の判断に基づき選択的に実施する項目:
    貧血検査(ヘマトクリット値、赤血球数、血色素量)、心電図検査、眼底検査、血清クレアチニン検査
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リスクを判定

肥満リスクを判定

①腹囲
男性85cm以上
女性90cm以上
②BMI※
25以上
  • ※BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
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追加リスクの数を判定

①血圧高値
収縮期血圧 130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧 85mmHg以上
②脂質異常
空腹時中性脂肪 150mg/dL以上(やむを得ない場合は随時中性脂肪175 mg/dL以上) または HDLコレステロール 40mg/dL未満
③血糖高値
空腹時血糖値(やむを得ない場合は随時血糖) 100mg/dL以上 または ヘモグロビンA1c(NGSP) 5.6%以上
④喫煙歴あり
(①~③のリスクが1つ以上の場合にのみカウント)
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該当するリスク数に応じて特定保健指導を実施

健診結果を活用して効果的に対策を

メタボはさまざまな病気のリスクとなりますが、その始まりは肥満(内臓脂肪型肥満)です。特定健診や健康診断の結果を見直し、BMIや腹囲、中性脂肪値などが基準値から外れていたら対策を始めましょう。内臓脂肪は食事や運動の改善で比較的早く減りやすいという特徴があります。
BMIや腹囲、中性脂肪値が正常範囲内でも、血糖値や血圧、コレステロール値などが基準値から外れている場合は各項目に応じた対策をしましょう。また、検査結果が基準値内でも前年より数値が悪化していれば対策を行う必要があります。そのため、健診結果は保管し、経年変化もチェックして健康維持に役立てましょう。

生活習慣を見直すポイント

食生活

  • よく噛んでゆっくりと食べ、食べすぎを控える
  • 1日3食、規則正しく食べる
  • 間食や甘い飲み物、夜食は控える
  • 栄養バランスのよい食事をとる
  • めん類の汁は飲み干さない

運動

  • 今より10分多く体を動かす
    ・30分~1時間座ったら3分程度動く
    ・少し遠いコンビニやスーパーに行く
    ・駅やオフィスなどで階段を使う
    ・乗り物に乗るときはひと駅手前で降りて歩く

INFORMATION

監修 岡田武夫
滋慶医療科学大学医療科学部臨床工学科教授。大阪大学大学院医学研究科博士課程修了。日本循環器学会、日本生体医工学会、日本医療情報学会、日本公衆衛生学会等に所属。
がんや循環器病の一次予防や早期発見のための活動に取り組み、生活習慣の改善などの健康支援ならびに研究などを行う。

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