健康に過ごす

身近で危険な熱中症正しい知識を身につけて、暑い日もすこやかに

身近で危険な熱中症 正しい知識を身につけて、暑い日もすこやかに

気温や湿度が高まる夏場に増加する熱中症。誰もが発症する可能性があり、重症化すると死に至る点から、近年は社会問題化しています。しかし、症状や対処法、予防法などについて正しい知識をもてば、発症の予防や軽症での回復につながります。熱中症の知識を深めて、健康に夏を過ごしましょう。

2025年の熱中症での救急搬送者数は過去最多

ここ数年、気温が40度近くまで上昇する猛暑日が続くようになっています。2025年の6〜8月の平均気温は、統計を開始した1898年以降、最高値を記録しました。
かつて経験したことのない気温に伴い、熱中症の発症者も増加。救急搬送者数(5〜9月)は100,510人となり、2008年の調査開始以降で初めて10万人を超え、過去最多となりました。搬送者の63.1%が軽症と診断されましたが、34.2%が入院診療、2.2%が長期入院、0.1%が死亡となっています。

  • ※総務省消防庁「令和7年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」より作成

原因、症状、対策

原因

体を動かすことによって体内で熱が作られた結果、人間の体温は上昇しますが、汗をかくことや体の表面から熱を放出することで体温を調整しています。
しかし、気温や湿度が高い環境で激しい運動や長時間作業などを行うと、体内の水分や塩分(ナトリウム)が減少。さらに、血流の滞りなどにより体内の熱が放出されにくくなって、体温調節がうまく機能しなくなり、体温が上昇してしまいます。

また、活動的に動くことがなくても、湿度が高い室内で過ごすと、体に熱がこもり、熱を放出しにくくなります。エアコンが苦手な場合は、温度を高めに設定して湿度のみを下げるようにしましょう。

気温が急に高くなる日や、梅雨明け後の急に蒸し暑さが増した日、熱帯夜やその翌日は発症しやすいので注意しましょう。

症状

以下の症状が現れたら、熱中症を発症している可能性があります。

  • めまい、たちくらみ、顔のほてり
  • 手足のしびれやこむら返り、筋肉痛
  • 頭痛や吐き気、体のだるさ
  • 汗が出ない、あるいは汗がずっと出る
  • 体温が高い、皮膚が熱い、皮膚が赤く乾いている
  • まっすぐ歩けない、走れない
  • 呼びかけても反応しない、呼びかけへの返答がおかしい
  • 上手に水分補給できない
  • 意識がない
対策

熱中症を発症しないために、日頃から予防や対策を心がけましょう。

  • 冷房を適切に利用する
  • テレビやWEBで発信される熱中症指数をこまめにチェック
  • 塩分を含む食品をとる
    例:
    塩分を含む飴やゼリー飲料、梅干し、塩こんぶなど
  • こまめに水分を補給する
  • 外出時は、日傘や帽子、冷却タオルなどを活用する

もしかして熱中症?と思ったら
取るべき行動

熱中症の症状が現れたら、すみやかに応急処置を行った後、医療機関を受診してください。

応急処置
  • 涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめ、体の熱を放散させる
  • 保冷剤や冷やしたペットボトルなどで首筋やわきの下、脚の付け根などを冷やす
  • 塩分や水分を補給する(スポーツドリンクなどでもOK)
    • ※気道に水分が流れ込む危険がありますので、水分補給は慎重に行いましょう。

「意識がない」「自分で水が飲めない」など重症が疑われる場合は、すぐに救急車を要請してください。

とくに注意が必要な方

乳幼児

体温調節機能が発達していないため、熱中症にかかりやすいといわれる。

高齢者

暑さや水分不足を感じる機能が弱くなるため、室内でも注意が必要。

障がいをもつ方

暑さを感じにくい、あるいは暑さを訴えることができず、発症する場合がある。

児童・中高生

体育の授業や部活動、屋外活動などで無理をしてしまい、発症する場合がある。

Column
エアコンと扇風機で空気循環をよくしましょう

エアコンは高めの温度設定でも湿度を下げてくれるため、熱中症予防に効果があります。しかし、私のクリニックに来る患者さんのなかでもとくに高齢の痩せ型の方は、エアコンを好まない傾向があります。
患者さんには高めの設定温度でエアコンを活用することを伝えていますが、それでもエアコンを好まない方には「隣の部屋のエアコンをつけて扇風機で空気を循環させてください」と伝えています。空気を循環させるだけでも、室内の温度・湿度を適切に保てるので、熱中症予防になります。

INFORMATION

監修者 泉岡利雄
医学博士。大阪府内科医会会長。関西医科大学卒業。医療法人社団宏久会泉岡医院(大阪市都島区)院長として、内科、循環器内科、小児科の診察を行う。昭和の時代より、親子2代にわたる「地域のかかりつけ医」として、幅広い世代の疾患の治療や健康づくりに取り組んでいる。

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