薬膳は季節や体調に合わせた食材と調理法によって、健康を促進する「食養生」です。薬膳は健康によさそうと思う反面、特別な料理というイメージをもっている方も多いようですが、普段の暮らしに簡単に取り入れられます。国際中医薬膳師・国際中医師A級の資格をもつ料理研究家の濱田美里さんに、薬膳の基本的な考え方と、健やかに梅雨から夏を乗り切るために役立つメニューを教えてもらいました。
薬膳の基本と
季節ごとの食材選び
中医学(中国の伝統医学)では、食欲がない、体がだるいなど、少し体調がすぐれない状態を「未病」といいます。未病を予防するために、体を整える食材を組み合わせて作る料理が薬膳です。たとえば、旬のものを食べることで、その季節に合った効能が得られるというのが薬膳の基本ですから、みなさんはもう実践しているのではないでしょうか。このように、普段ご家庭で使われている食材には、体によい効果があるのです。まずは薬膳の基礎的な考え方を紹介します。
陰と陽の食材
中医学の基本となる考えに「陰陽学説」があります。これは、自然界にある全ての物事は「陰」と「陽」があるという考えです。たとえば、月と太陽の移り変わりが陰と陽を表しています。互いに対立しながらも影響し合い、切り離すことができません。
薬膳では体を冷やす「陰」の食材と、体を温める「陽」の食材を分けて考えます。陰と陽のどちらかに偏ると体のバランスが崩れているとされます。夏は暑いからといって冷たいものを食べすぎると体が冷えてしまい、冬に病気を起こしやすくなります。陰と陽の食材をちょうどよいバランスで組み合わせることが大切です。
暑邪と湿邪から体を守る
梅雨と真夏の食養生
中医学では「邪気(じゃき)」と呼ばれる悪い「気」が体に侵入して不調を招くと考えます。梅雨の蒸し暑い時期に気をつけたいのは「暑邪(しょじゃ)」と「湿邪(しつじゃ)」。暑邪は体に熱がこもり、めまいや動悸、高熱、口渇、食欲不振、大量に汗をかくなどの症状が起こります。湿邪は体に余分な水分や老廃物がたまり、むくみやだるさ、頭痛、胃腸の機能を低下させます。 とくに梅雨は湿邪による食欲不振や消化不良が起こりがち。この季節は気の巡りをよくし、胃腸の調子を整えてくれる青じそ(大葉)がおすすめです。私は茎付きの青じそを大量に買ってきたり、家庭菜園で育ちすぎたものをいただいたりすると、「青じその韓国風醤油漬け」を作ります。体こもった熱を陰の食材で体を冷ますことは、もちろん大切なのですが、冷房などで体を冷やしてしまいがちです。青じそは冷え性の方にもぴったりな陽の食材です。
青じその韓国風醤油漬け
材料
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- 【A】
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- 醤油
- 50cc
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- みりん、酒
- 各大さじ1
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- おろしにんにく
- 小さじ1/3
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- 韓国唐辛子
- 小さじ1
作り方
- 青じそを水に1 時間浸けて(暑い時期は氷水)あくを抜き、ザルにあげて水気をしっかり拭き取る。
- 保存容器に青じそを1/3 の枚数だけ入れる。
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小鍋に調味料Aを入れて煮立てて、②の青じその上に1/3の量をかける。同様に2回繰り返し重ね入れ、箸で押さえてなじませる。冷めたら蓋をして冷蔵庫へ。2 日後くらいから味が染み込みます。
これから暑さが増してくると、体がほてって熱っぽい、不眠や便秘で体調を崩す、発汗が多く血液がドロドロになる、暑さで怒りっぽくなり「心」がオーバーワークになるなど、心身ともに弱りがちです。
夏におすすめの薬膳は、気軽に取り入れやすい「冷奴」。我が家は毎日のように食卓にのぼらせています。豆腐は「冷ます・潤す」作用がある陰性の食材で、体の余分な熱をとり、適度な水分も補ってくれます。暑いときは同じく陰性のきゅうり、トマトと組み合わせるといいでしょう。
また、夫は暑がりだけど妻は冷え性というように、家族の中で体質が違うことがあります。冷たいものだけを合わせるのではなく、温かいものも組み合わせるようにすれば、体が冷えすぎません。私は冷え性で胃も弱いので、温かいスープを添えたり、陽性のネギ、香菜、にんにくなど体を温めてくれる食材を使ってバランスを整えています。暑邪と湿邪を体にためないように気をつけて、夏を乗り切れる体づくりをしていきましょう。