体を動かすFitness

運動のある暮らし肥満の予防・解消
冬こそ運動で脂肪を燃焼しよう

運動のある暮らし 肥満の予防・解消 冬こそ運動で脂肪を燃焼しよう

食事で摂取するエネルギー(カロリー)が運動などで消費するエネルギーを上回ると、余ったエネルギーの多くは体脂肪として蓄積されます。この状態を「肥満」といいます。今月は生活習慣病予防を見据えた肥満の予防・解消にフォーカスした運動を紹介します。クリスマスやお正月といった行事が多く、つい暴飲暴食をしがち。摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスに気をつけながら、継続できる安定した運動習慣を身につけましょう。

冬は脂肪を効率的に燃やす絶好のチャンス

肥満の直接的な原因の多くは、食事の過剰摂取や運動不足、ストレスといった生活上の悪習慣によるものです。体内に過剰に溜め込んだ脂肪により高血圧や高血糖、脂質異常といった症状を引き起こし、やがてがんや糖尿病、心筋梗塞、脳卒中といった生活習慣病を発症させます。

肥満とメタボリックシンドロームについて

肥満は身長に比較して体重が重い状態です。もっとも一般的なものさしとして、BMI(Body Mass Index)が用いられており、BMIの数値が25.0以上で肥満とされています。

  • BMI=体重kg÷(身長m)2
  • 標準体重=身長(m)×身長(m)×22

同じ肥満でも脂肪のつき方によって「内臓脂肪型(りんご型)肥満」と「皮下脂肪型(洋なし型)肥満」に大別されます。

内臓脂肪は腹腔内に蓄積するため、皮下脂肪よりも血管に入り込みやすく、血管や心臓に悪影響をおよぼすこともあります。高血圧や高血糖、脂質異常といったメタボリックシンドロームのリスクを高めるので、皮下脂肪よりも注意が必要です。また、内臓脂肪は代謝が活発なため、運動や食事の習慣に影響を受けやすく短期間で増減しやすい脂肪です。

冬こそ脂肪燃焼

基礎代謝とは生命維持活動のために消費されるエネルギーのことで、全エネルギー消費量の約6割を占めます。基礎代謝は加齢による筋肉量の減少にともない、とくに60歳以上の高齢期になると下降していきます。そのため、年齢を重ねると食べる量が変わらなくても太りやすくなります。また、季節によっても変化します。たくさん汗をかく夏の方がエネルギーを消費しやすいように思われがちですが、実際は外気の温度が低い冬の方が体温を維持させるために基礎代謝が高くなり、ダイエットに向いている季節ともいえます。
寒さが厳しい場合、筋肉量が多い人は体温が下がらないように代謝を活性化させ、エネルギーを消費して体温を保つことができます。寒い日ほど、ストーブの温度を維持するために、燃料をよりたくさん燃やさなければならないといったイメージです。一方、筋肉量が少ない人は、代謝が低いため体温を上げることができず、体に脂肪を蓄えることで体温を保とうとします。基礎代謝を維持・向上させるためには日常的に体を動かし、筋トレで筋肉量を増やすことが重要です。

肥満の予防・解消に効果的な
運動の組み合わせ

肥満を予防・解消するための脂肪燃焼には有酸素運動がベースとなりますが、単独では脂肪燃焼に多くの時間を要します。有酸素運動で脂肪を燃焼させながら、筋トレ(レジスタンス運動)を並行して行い、筋肉量を増やして基礎代謝を上げながら効果的に脂肪を燃焼させましょう。

筋トレ

体の中心部を中心に、大きな筋肉群をできるだけたくさん動かすことが、内臓脂肪の燃焼につながります。週2~3回を目安に(連日行わない)、正しいフォームや呼吸法を身につけて行いましょう。

メニュー
  • クランチ
    腹筋に効果的です。
  • バイシクルクランチ
    体をひねる動きが加わるため、腹斜筋(脇腹の筋肉)に効果的です。ウエスト周りの引き締めにも有効です。
  • スーパーマン
    背中やお尻、肩、そして体幹に効果的なトレーニングです。背中の筋肉や腰回りを強化します。姿勢の改善や腰痛予防にも役に立ちます。
  • チェストフライ
    胸の筋肉を集中的に鍛えます。腕立て伏せと同様に上半身の筋肉を引き締めるトレーニングです。ダンベルや水入りペットボトルを利用するとより効果的です。

この他にも、スクワット(下肢の筋トレ)やヒップリフト(レジスタンスバンドトレーニング)、腕立て伏せやプランク(胸の筋トレ)などを組み合わせるとより高い効果が得られます。

有酸素運動

ウォーキング(速歩)やステップ運動(踏み台昇降)、ジョギングやランニング、エアロビクスダンスなど、継続しやすいものを選びましょう。健康の維持のためにも有酸素運動を行うことは必須となります。肥満解消や予防を目指す場合は、週あたり150分以上行うことをおすすめします。

  • ※参考:「肥満症診療ガイドライン2022」(日本肥満学会)

運動の前後はウォームアップ・クールダウン

Column1
睡眠不足は肥満の大敵

日本では古くから「寝る子は育つ」と伝えられてきました。最近の研究では、睡眠が私たちの健康状態に多くの影響をおよぼすことが次々と明らかになってきています。成人に関しては「寝ない中高年は太る」といった傾向が見られます。その理由として、睡眠時間が十分でない場合、「レプチン」という食欲を抑制するホルモンが減少し、食欲を増進する「グレリン」というホルモンを増加させるからです。睡眠不足から過食が起こりやすくなり、肥満、生活習慣病という流れを作ってしまっているのです。睡眠時間をしっかり確保するためにも生活習慣全般を見直し、規則正しい生活リズムに整えましょう。

Column2
体重の変化は見える形に

運動や食事で脂肪を落としたいと思っていても、モチベーションを維持することは、誰にとっても大変なことです。肥満を解消するうえで、習慣的に体重測定することは基本となります。体重の変化をグラフで視覚化したり、スケジュール帳や日記に食事や運動の記録と一緒に書いたりすることもモチベーション維持の一助となります。また、スマートウォッチなどの各種モバイルツールによるセルフモニタリングをあわせて活用するのもおすすめです。

INFORMATION

監修 栁田 昌彦
同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科教授。筑波大学大学院体育研究科修士課程修了、群馬大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。公衆衛生学、老年医学、運動疫学、スポーツ栄養学などを専門分野とし、日本体力医学会評議員、日本循環器病予防学会評議員などを務める。京都府学校剣道連盟副会長、京田辺市健康づくり推進協議会委員長として社会活動を行うなど、多方面にわたって活躍。主な著書に『スポーツ医科学』(中央法規出版)、『健康教育マニュアル第2版生活習慣病予防の保健指導』(日本家族計画協会)など多数。
運動指導 平田 一恵
保健体育教諭。筑波大学体育専門学群卒業後、約30年にわたり小・中・高等学校にて運動指導を行う。近年は、JHHCAホームヘルスコーチや健康管理士一般指導員、ピラティスインストラクターといった資格を生かし、中高年の運動および健康指導へも活動領域を広げている。
文字サイズ