体を動かすFitness

運動のある暮らしハイハイから学ぶ
体づくリ

運動のある暮らし ハイハイから学ぶ 体づくリ

赤ちゃんは生後8カ月頃に「ハイハイ」をしはじめ、急速に体を発達させます。短期間で二足歩行ができるまでに身体機能を向上させることができるのは、「四つん這い」の姿勢に秘密があります。今月は四つん這いの姿勢を利用したトレーニングを紹介します。とくに日頃デスクワークで上半身を動かす機会が少なく、「猫背」や「肩こり」といった問題を抱えている人は、ぜひ取り組んでみてください。

ハイハイは
はじめての筋トレ

赤ちゃんは 両手両足で体重を支えることで、腕や脚、背中、お腹、首といった全身の筋肉を強化します。また、四つん這いの姿勢でいることにより、体幹部の筋肉を強化しながら全身のバランス感覚も養っているのです。つまりハイハイは、私たちにとってはじめての本格的な筋トレだといえます。 しかし、二足歩行で生活する私たちは、日常生活で四つ這いになることはほとんどなくなり、くわえて加齢や運動不足のために、筋力とバランス感覚が低下傾向にある人が多いと思います。体の軸となる体幹を中心とした全身の筋力やバランス感覚を、再び呼び覚ましていきましょう。

四つん這い姿勢のトレーニングの効果

  • 姿勢改善
  • ヒップアップ
  • お腹まわりの引き締め
  • 基礎代謝の向上
  • 腰痛や肩こりなどの軽減
  • 全身のバランスアップによる転倒やケガの防止

筋肉も内外のバランスが重要

体幹の重要性が強調されるようになってから、筋肉を深層部の筋肉「インナーマッスル」、その外側に位置する表層部の筋肉「アウターマッスル」と分けて考えるようになりました。一般的に「インナーマッスル」というと体幹の深層部をイメージしますが、体幹部の筋肉だけではなく、肩や股関節をはじめ全身の筋肉もインナーマッスルとアウターマッスルに分類することができ、それぞれで役割が異なります。 インナーマッスルは内臓や骨を支えるなど、軸となって体を安定させます。一方、アウターマッスルは体を動かしたり、外からの衝撃から体を守ってくれたりするなどの働きをしています。内外の筋肉をバランスよく鍛えることで、体はバランスよく動き、正しい姿勢で生活を送ることができます。とくに体幹部は木でいうところの幹の部分なので、意識的にトレーニングを行うことが大切です。


メニュー
  • バックキック
    お尻(大臀筋)を中心に、お腹(腹直筋)や背中(広背筋)の体幹の筋肉を強化します。ヒップアップや姿勢の改善に有効です。
  • プランク
    体幹のインナーマッスルを集中的に鍛える、すぐれたトレーニング方法です。内外からバランスよく鍛えるには、腕立て伏せとプランクの両方を行うのがベストです。まずプランクを行い、体幹を安定させてから腕立て伏せに移りましょう。
  • 腕立て伏せ
    腕立て伏せは胸(大胸筋)や肩(三角筋)、腕(上腕三頭筋)を中心に上半身全体の筋肉を強化します。体幹も同時に鍛えられるので、効率のよい筋トレのひとつといえるでしょう。

  • ※いずれのトレーニングも無理をせず、できる回数・難易度からからはじめ、慣れてきたら、回数や時間を増やす、難易度を上げるなど、負荷をかけていきましょう。

いまさら聞けない
代謝のいろいろ

筋トレを行うと基礎代謝が上がり、ダイエットに有効だといわれています。筋トレとダイエットは、いったいどういう仕組みでつながっているのでしょうか。
私たちは生命を維持するためにエネルギーを必要とし、無意識に呼吸をしたり、体温を調整したりしています。この生きるために最低限必要とされるエネルギーが基礎代謝です。つまり安静にしていても私たちは常にエネルギーを消費し続けており、基礎代謝は全体の約60%にも上ります(図1)。基礎代謝の内訳を見ると、筋肉(骨格筋)が22%もしめています(図2)。 筋肉量には個人差があります。単純に筋肉量が多い人はより多くのエネルギーを消費するため、「筋トレで筋肉を増やす=基礎代謝が増える」となります。
また、食事のときも食べ物の消化や吸収のために、エネルギーが消費されます。これを「食事誘発性熱産性(以下DIT:Diet Induced Thermogenesis)」と言い、消費エネルギーは栄養素ごとに異なります。たんぱく質が約30%と圧倒的に多く、糖質は約6%、脂質は約4%となっています。そのため、筋トレで効率よく筋肉を育てるには、たんぱく質の摂取が重要です。筋トレと並行してたんぱく質をしっかりと摂取することで、より多くのDITのエネルギーが消費され、育てられた筋肉が基礎代謝も上げていくといった、二重のエネルギー消費の仕組みが、太りにくい体や痩せやすい体へと変化させてくれるのです。


INFORMATION

監修 栁田 昌彦
同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科教授。筑波大学大学院体育研究科修士課程修了、群馬大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。公衆衛生学、老年医学、運動疫学、スポーツ栄養学などを専門分野とし、日本体力医学会評議員、日本循環器病予防学会評議員などを務める。京都府学校剣道連盟副会長、京田辺市健康づくり推進協議会委員長として社会活動を行うなど、多方面にわたって活躍。主な著書に『スポーツ医科学』(中央法規出版)、『健康教育マニュアル第2版生活習慣病予防の保健指導』(日本家族計画協会)など多数。
運動指導 平田 一恵
保健体育教諭。筑波大学体育専門学群卒業後、約30年にわたり小・中・高等学校にて運動指導を行う。近年は、JHHCAホームヘルスコーチや健康管理士一般指導員、ピラティスインストラクターといった資格を生かし、中高年の運動および健康指導へも活動領域を広げている。
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