体を動かすFitness

運動のある暮らしゆるめて・伸ばして
体を整えるストレッチ

運動のある暮らし ゆるめて・伸ばして体を整えるストレッチ

運動が体に良いということは、誰しも理解していること。ただ、仕事や家事を抱えていると、運動時間の確保、そしていかに自分の気持ちを運動へと傾けられるかが、ハードルとなっていませんか?運動は食事や睡眠と相互に影響し合いながら、健康を支えているため、運動習慣のたて直しは、健康生活へのトリガーとなります。運動を通じて自分の体と向き合い、不調や疾病を改善・予防することをめざしましょう。

運動不足解消は
ストレッチから始めよう!

職場や家庭で多忙な日々を過ごしていくうちに、それに反比例して後まわしになるのが、自身の健康管理です。頭の片隅で自分の健康状態を気にしてはいるけれど、つい目の前のことを優先し、運動や食事、睡眠などの生活習慣が改善されないまま、何年も過ごしていませんか?

食事や睡眠については、普通に生活を送るなかで不十分ではあっても、本能的欲求のおかげでゼロになることはほとんどありません。しかし、「運動」に関しては、近所を少しジョギングするだけでも、「少し走ってこよう!」と自ら立ち上がって、動き出さないことにはなにも始まりません。このように自分自身の気持ちと体を動かさない限りは、運動はゼロの状態のままなのです。

「よし、運動するぞ!」とやる気になって、ダンベルを持ち上げたり、マラソンに挑戦したりと、負荷の大きい運動に取り組みがちですが、これはかえって逆効果となります。まずは焦らずゆったりと、効率のよい運動習慣を身につけることからはじめましょう。
今月は朝昼夜、それぞれのタイミングで効果的なストレッチを紹介します。不活動期間が長かった筋肉や関節をゆるめたり、伸ばしたりすることで、これから安全にそして効率的に運動ができる体へと整えていきましょう。

運動不足解消はストレッチから始めよう!イメージ

ストレッチの効果

ストレッチは、大きく「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」に分けられます。ラジオ体操など動きのある動的ストレッチは、運動前に体にスイッチを入れるような場面で。一般的なストレッチのイメージである静的ストレッチは、同じ姿勢を保持しながら体の各部を伸ばしていきます。こちらはクーリングダウンや就寝前など、活動の終わりや体をリラックスさせたいときに取り入れるとよいでしょう。生活の様々な場面で、取り入れられるものから、順次はじめていきましょう。

以下のことに留意しましょう

  • 痛みを感じるときは、控える
  • 急に大きく動かすことなく、少しずつほぐす
  • 息を止めずに、自然な呼吸で

朝のストレッチ

睡眠からのオフ状態の体にスイッチを入れます。目覚めてからすぐは体を急に動かさず、ゆっくりと体全体を大きく動かすところから始めます。朝忙しいときは、大きな動きや気になる箇所を優先的に、できる範囲で行いましょう。

メニュー
  • 全身の背伸びストレッチ
  • 腰のストレッチ
  • 股関節のストレッチ#1
  • 股関節・もも裏のストレッチ
  • 股関節のストレッチ#2
  • 首・肩・体側のストレッチ
  • 胸のストレッチ#1
  • 胸のストレッチ#2
  • 内もものストレッチ
  • 背中・もも裏のストレッチ
  • 股関節・骨盤まわりのストレッチ

休憩時間のストレッチ

仕事の休憩時間、家事の合間などのすきま時間に取り入れやすいストレッチです。PCワークなど同じ姿勢の状態が長く続く方は、肩こりや腰痛防止のためにもこまめに行いましょう。

  • ※安定した椅子や机で行い、転倒しないように注意しましょう。
メニュー
  • 首・肩・肩関節・体側のストレッチ
  • 体幹の回旋ストレッチ
  • 手首・肘のストレッチ
  • ふくらはぎのストレッチ
  • もも裏のストレッチ
  • 背中・腰のストレッチ
  • 背中のストレッチ

夜のストレッチ

疲労回復やリラックスを目的とします。日中にできなかったストレッチを行うのもおすすめです。ご家族と会話をしながら、テレビを見ながら時間を有効に利用しましょう。また、お風呂上がりの体が温まった状態でのストレッチは効果的です。

メニュー
  • 股関節のストレッチ#1
  • 腰のストレッチ
  • 前もものストレッチ
  • もも裏のストレッチ
  • 股関節・お尻のストレッチ
  • 脚上げのポーズ

次月まで、できるだけ多く繰り返し行ってくださいね。

Column1
身体活動のチェック

上述のとおり、運動への意欲がわいたものの、「では、どこから?」と立ち止まるケースは少なくありません。そんなとき、以下の「アクティブガイド」を参考にしてみましょう。
「+10(プラステン)~今より10分多く体をうごかそう~」をメインメッセージとして、それぞれの活動状況や体力レベルに応じ、身体活動(運動・スポーツを含む)を、どのように拡充していけばよいのかを示してくれます。プラス10分、身体活動を深めることによって、死亡リスク、生活習慣病やがん、ロコモティブシンドローム(※)・認知症の発症を低下させることができるとされています。

  • ※加齢に伴い、筋肉・骨・関節に支障をきたし、自立した生活が困難となっている状態。
※e-ヘルスネットアクティブガイド(厚生労働省)を基に作成

スマート・ライフ・プロジェクト 「身体活動・運動」(厚生労働省)

Column2
健康のものさし

顔色などを見て健康状態を判断することもありますが、体調の変化や病気のサインに早く気づくためにも、自分自身の「健康のものさし」を持つことは重要です。
身近な健康のものさしとしては、「体重」の増減を見ることも有効ですが、体重のほかにも、「BMI」(Body Mass Index)と呼ばれるものもあります。BMI では、おおよその体格を知ることができ、この値が22 となる体重が「標準体重( 理想体重)」とされ、統計的に最も死亡率・有病率が低いことが分かっています。

標準体重=身長(m)×身長(m)×22

BMI (kg/m²) 判定
18.5未満 低体重(痩せ)
18.5以上 25.0未満 普通体重
25.0以上 肥満

最近では、体脂肪や筋肉量や基礎代謝、体水分率などまで簡単に測定できる「体組成計」も身近なツールです。家庭でも定期的に測定することで、健康管理ができます。また、BMI も自動的に算出してくれるので非常に便利です。

これから運動を進めていく上で、数値として効果が目に見えてくると、さらなるモチベーションアップにつながるでしょう。

INFORMATION

監修 栁田 昌彦
同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科教授。筑波大学大学院体育研究科修士課程修了、群馬大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。公衆衛生学、老年医学、運動疫学、スポーツ栄養学などを専門分野とし、日本体力医学会評議員、日本循環器病予防学会評議員などを務める。京都府学校剣道連盟副会長、京田辺市健康づくり推進協議会委員長として社会活動を行うなど、多方面にわたって活躍。主な著書に『スポーツ医科学』(中央法規出版)、『健康教育マニュアル第2版生活習慣病予防の保健指導』(日本家族計画協会)など多数。
運動指導 平田 一恵
保健体育教諭。筑波大学体育専門学群卒業後、約30年にわたり小・中・高等学校にて運動指導を行う。近年は、JHHCAホームヘルスコーチや健康管理士一般指導員、ピラティスインストラクターといった資格を生かし、中高年の運動および健康指導へも活動領域を広げている。
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