体を動かすFitness

運動のある暮らし筋力アップは
なによりの万能薬

運動のある暮らし 筋力アップはなによりの万能薬

レジスタンス運動、いわゆる筋力トレーニング(以下、筋トレ)が幅広い世代で注目されています。ひと昔前ならば、ボディビルダーやアスリートなどの上級者向けのトレーニングというイメージが強くありましたが、最近ではお腹まわりや二の腕を引き締めるなど、理想の体型づくりのための「ボディメイク」として、筋トレが身近なものになってきました。
筋トレを行うメリットとして忘れてはならないのが、健康の保持・増進です。これは筋トレから得られる最大の恩恵と言っても過言ではありません。では、どのような健康効果があるのでしょうか。

筋肉は生きる力

体型づくりのため、競技パフォーマンスの向上のためと、筋トレを始める動機やきっかけはなんであれ、効果を感じられるようになれば、さらなるモチベーションアップになり、何よりも健やかな生活を送ることができます。 筋肉は30歳前後を境に年々減少していき、何もしないと80歳にはピーク時の50%ほどまで減ってしまいます。筋肉が減るということは、自分の力で自分の体を動かす力を失っていく、つまり「寝たきり」の状態に近づいていくことを意味しているのです。この現象を防止するには、元気なうちから筋トレをすることです。 長年にわたり、筋肉や筋トレの研究が進み、次々とその健康効果が証明されています。それらを受けて厚生労働省をはじめとした行政機関でも筋トレを推奨するようになっています。

筋トレの効果

  • 疲労回復
  • ケガの防止
  • 肥満防止・改善
  • 骨密度の上昇
  • ホルモン分泌の活性化
  • 姿勢の改善
  • 心臓病や糖尿病、高血圧、脂質異常症、がんなど、生活習慣病の予防・改善、死亡リスクの軽減
  • ストレス解消をはじめ精神の安定
  • 脳機能の活性化
  • 認知症予防
  • 運動器の老化予防(転倒や骨折、寝たきりになるリスクの低減)

もちろん、これらの効果がすべてではありませんが、主に示されているものだけでも、それぞれの年代が抱えている健康への不安や悩みの大半が、筋トレで解消・緩和できるのではないでしょうか。 筋トレは、筋肉という体の枠組みを増強させることにより、全身の機能自体を向上させます。やり過ぎやケガに注意は必要ですが、何より安全で継続することで健康効果が高い「万能薬」といえるでしょう。また、病気になってからではなく、健康な状態から定期的に行うことで、さまざまな疾病に対しての「予防薬」ともなりうるのです。

どんな筋トレから始めればいい?

「筋トレはスクワットに始まりスクワットに終わる」といえるほど、全身を効率よく筋力アップさせるには、スクワットの右に出るものはありません。 スクワットの特徴として以下のものがあげられます。

スクワットの特徴

  • お尻(大臀筋)や太ももの裏側(ハムストリングス)、太ももの前側(大腿四頭筋)など、大きな筋肉を鍛えられる(代謝を上げやすい)
  • 下肢の筋肉や関節などの柔軟性を高める
  • ヒップアップに効果的
  • 椅子の立ち上がりや階段の昇降がスムーズにできる
  • 特別な器具も必要なく、自宅で気軽にできる
  • 比較的シンプルな動きのため、初心者でも行いやすい

安全で効果的なスロートレーニング

筋トレのやり方もさまざまですが、昨今、注目されている「スロートレニング」のメソッドを取り入れた自重トレーニングをご紹介します。スロートレニングは、その名の通り、ゆっくりと一定のスピードで行うことが基本となります。加えて、このゆっくりのスピードを維持しながら、途中で動きを止めないようにしましょう。呼吸も止めず、鍛えている筋肉に意識を置きます。 ゆっくり行うことで筋肉が低酸素状態になり、少ない回数でも強度の高いトレーニングと同様の効果が得られます。また、安全性が高く負担も少ないため、気軽に取り組めます。

  • ※週に2、3回を目安に行います。ただし、連日にならないよう翌日は必ず筋肉をしっかり休めましょう。筋肉痛がある場合は、痛みがなくなってから行ってください。

スロートレーニングのポイント

  • 動きは止めず、ゆっくりと一定のスピードで行う
  • 曲げた膝は伸ばしきらない(力を抜かない)
  • 呼吸は続け、鍛えている筋肉に意識を置く
メニュー
  • スロースクワット
  • スローワイドスクワット
  • ※体の安定や膝に不安のある人はスローワイドスクワットから始めましょう。

筋トレの効果を
高めるために

筋トレと、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を組み合わせると、さらなる健康増進効果が得られることが認められています。筋トレを行わない日は有酸素運動を行うなど、組み合わせを考えてスケジュールを立てましょう。筋トレ前後のストレッチも筋トレの効果を高めます。効果を実感できるのは2、3カ月継続してからとなります。また、効果を高めるために、この機会に食事や睡眠も見直すといいでしょう。

スクワットができない日は、階段の上り下りを

階段の上り下りは、スクワットと同じ筋肉を使います。筋トレができない日は、駅や職場のエスカレーターやエレベーターは利用せず階段を積極的に上り下りしましょう。その際はスクワット同様に背筋を伸ばして行うことを意識して、スピードはつけずにゆっくりと一段一段踏み締めるように行ってください。転倒防止のために手すりの近くで行いましょう。

階段の上り下り

Column
運動と健康のなぞを紐解くマイオカイン

運動時に「マイオカイン」という物質が筋肉から分泌されています。マイオカインがさまざまな健康効果をもたらすことがわかってきました。マイオカインにはいくつかの種類があり、筋肉自体に作用するものもあれば、血流にのって、脂肪燃焼や血糖値の安定、血管の老化抑制など、生活習慣病の予防や改善に効果を発揮するものもあります。筋トレは、筋肉にフォーカスを置いた運動のひとつです。マイオカインの健康効果をたくさん得るためにも、筋トレを生活の一部として取り入れましょう。

INFORMATION

監修 栁田 昌彦
同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科教授。筑波大学大学院体育研究科修士課程修了、群馬大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。公衆衛生学、老年医学、運動疫学、スポーツ栄養学などを専門分野とし、日本体力医学会評議員、日本循環器病予防学会評議員などを務める。京都府学校剣道連盟副会長、京田辺市健康づくり推進協議会委員長として社会活動を行うなど、多方面にわたって活躍。主な著書に『スポーツ医科学』(中央法規出版)、『健康教育マニュアル第2版生活習慣病予防の保健指導』(日本家族計画協会)など多数。
運動指導 平田 一恵
保健体育教諭。筑波大学体育専門学群卒業後、約30年にわたり小・中・高等学校にて運動指導を行う。近年は、JHHCAホームヘルスコーチや健康管理士一般指導員、ピラティスインストラクターといった資格を生かし、中高年の運動および健康指導へも活動領域を広げている。
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