体を動かすFitness

運動のある暮らし脂質異常症を予防・改善
運動で動脈硬化のリスクを減らそう!

運動のある暮らし 脂質異常症を予防・改善 運動で動脈硬化のリスクを減らそう!

年末年始の食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足や睡眠不足から「正月太り」になっていませんか。運動不足や脂質の多い食事の影響で内臓脂肪がたまると、血液中の脂質のバランスが失われ「脂質異常症」を引き起こします。新年から運動習慣を身につけ、脂質異常症の予防・改善に取り組みましょう。

内臓脂肪型肥満は
脂質異常症を引き起こしやすい

12月の「肥満の予防・解消 冬こそ運動で脂肪を燃焼しよう」で紹介した、「内臓脂肪型肥満」は、さまざまな生活習慣病を引き起こす元凶です。その代表的な疾患のひとつが「脂質異常症」。お腹まわりにたまった内臓脂肪が血管内に入り込み、血液中の脂質が必要以上に増えてバランスが失われる病気です。血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が多過ぎる、またはHDL(善玉)コレステロールが少な過ぎるなど、異常な数値を示します。
脂質異常症を発症すると血液がドロドロ状態になり、血流が悪くなります。また、脂質異常症は自覚症状がほとんどないため放置されがちです。放っておくと動脈硬化が進行して、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。

※内臓脂肪型肥満については「肥満の予防・解消 冬こそ運動で脂肪を燃焼しよう」を参照

脂質異常症の診断基準

  • ※出典:「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」(日本動脈硬化学会)をもとに作成

脂質異常症は血液中の脂質のいずれかの値が基準値から外れた状態です。 健康診断の血中脂質検査で異常を指摘された人、基準範囲内でも数値が高めの予備群の人は早い段階から生活習慣の改善に取り組みましょう。

適正体重の維持・改善が基本

内臓脂肪の蓄積により脂質異常症が引き起こされている場合は、適正体重を維持・改善することが大きな目標となります。BMIの値(日本肥満学会の基準ではBMI:25以上を肥満、BMI:35以上を高度肥満と定義)や腹囲が一定の目安となりますが、段階的に無理のない範囲で減量を行うことが重要です。具体的には、3~6ヵ月間で体重や腹囲3%(高度肥満の場合は5%)減を目標にしましょう。3%以上の体重を減らすことで、中性脂肪の減少やHDLコレステロールの増加などにつながります。

脂質異常症の予防・改善には
有酸素運動を中心に行いましょう

食生活の改善とあわせて内臓脂肪を燃焼させる有酸素運動を行いましょう。定期的な有酸素運動は中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やすことが認められています。踏み台昇降をはじめとしたステップ運動、ウォーキング(速歩)やスロージョギング(歩くような速さのジョギング)、エアロビクスダンス、サイクリングなど、全身の筋肉を大きく動かす中強度以上の運動がおすすめです。また、普段から座ったままの状態をできるだけ避け、歩くことを心がけましょう。

運動時間・頻度
1日に合計30分以上の運動を毎日続けることが理想ですが、少なくとも週3日以上は行いましょう。
体力レベルや疲労の度合いをみながら、1日の中で短時間(10分以上)の運動を数回に分けて30分以上(例:10分間の運動を3回、15分間を2回)行うなど、継続できるように適度に休息日を入れて運動習慣を身につけましょう。
  • ※出典:e-ヘルスネット「脂質異常症を改善するための運動」(厚生労働省)

すきま時間にできる踏み台昇降

踏み台昇降は約10~20cmの高さの台を昇り降りする有酸素運動です。シンプルな動きですが、脂肪燃焼効果(消費カロリー)はウォーキングよりも高く、下半身を中心に筋肉を鍛える筋トレ効果もあります。脂質異常症はもちろん、血糖値の改善、心肺機能(スタミナ)や骨の強化、姿勢の改善にも役立ちます。まずは基本の昇降動作を身につけ、動きに慣れてきたら各筋肉にフォーカスしたものや負荷を上げるやり方にも挑戦していきましょう。

メニュー
  • 準備運動①足乗せ運動
  • 準備運動②片足昇降運動
  • 基本の踏み台昇降
    踏み台昇降は、軽く息が弾む程度のペースで行います。テンポや台の高さで運動強度を変えることができます。踏み台がない場合は、階段(約20cm)など自宅内の段差を利用しましょう。また、段差が低くなると負荷(効果)は少し下がりますが、平面でも同じ運動をすることは可能です。最初は低めの高さからはじめ、慣れてきたら少しずつ上げていくようにしましょう。
  • ニーアップ(腿上げ)を加えた踏み台昇降
    上半身と下半身をつなぐ筋肉(腸腰筋)や体幹を強化します。
  • カーフレイズ(つま先立ち)を加えた踏み台昇降
    ふくらはぎの筋肉(腓腹筋やヒラメ筋)や体幹、バランス力を強化します。
  • ペットボトルプラス踏み台昇降
    ダイエットのアレンジ

    ペットボトルなどを使って負荷をかけることで、消費エネルギーが上がります。

筋トレ(レジスタンス運動)

筋肉量が低下している場合は、有酸素運動に加え、軽めの筋トレで全身の筋肉をバランスよく鍛えるとさらに効果的です。筋肉量を増やして基礎代謝を上げることで、脂肪燃焼効果を高めることができます。筋トレは週2~3回を目安に行いましょう。同じ部位を連日鍛えるのではなく一日おきに行うなど、トレーニングを行う日と休息日をバランスよく設けて、筋肉を回復させましょう。

運動の前後はウォームアップ・クールダウン

ケガや筋肉痛防止のために準備運動や運動後のストレッチを行いましょう。

注意事項

  • 運動前は必ず体調チェックを行う。
  • 筋肉の疲労の度合いを観察しながら適宜体を休める。
  • 心血管疾患や腎臓疾患、高血圧などの持病がある人は必ず主治医に相談してから行う。
  • 実施中に関節や腰などに痛みを感じた場合はすぐに中止する。
  • こまめに水分補給する。
  • 空腹で行わず、運動開始の30分~1時間前にバナナなど消化のよい軽食をとる。

Column
生命維持に必要な機能
「ホメオスタシス」

私たちの体には、「ホメオスタシス(恒常性)」という機能があります。この機能のおかげで体温や血糖値など、体の状態が一定に保たれ、健康的な生命活動を行うことができます。
減量を始めてもすぐに体重が減らない、しばらくすると体重の減少が緩やかになったり元の体重に戻ったりするのは、ホメオスタシスの影響だといわれています。急激に体重が増減しないように、ホメオスタシスがホルモンバランスやエネルギー代謝を調整して元の体重に戻そうとしているからです。減量効果が停滞したときは、有酸素運動に筋トレを追加したり、有酸素運動の強度や時間を少し増強したりなどの工夫が効果的です。
減量初期は体重に変化がなくても、血圧、血糖値など体内の状態が改善している場合があります。体脂肪の減少で体が引き締まった、体の動きが向上したなど、体重以外の変化にも注目しましょう。短期間での体重減少を期待するのではなく、焦らず長期的な視野や目標を持って段階的に減量を進めていくことが大切です。無理のない範囲で運動や食事の管理を継続し、ストレスの軽減や十分な睡眠時間を確保するなど健康的な規則正しい生活を心がけましょう。

INFORMATION

監修 栁田 昌彦
同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科教授。筑波大学大学院体育研究科修士課程修了、群馬大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。公衆衛生学、老年医学、運動疫学、スポーツ栄養学などを専門分野とし、日本体力医学会評議員、日本循環器病予防学会評議員などを務める。京都府学校剣道連盟副会長、京田辺市健康づくり推進協議会委員長として社会活動を行うなど、多方面にわたって活躍。主な著書に『スポーツ医科学』(中央法規出版)、『健康教育マニュアル第2版生活習慣病予防の保健指導』(日本家族計画協会)など多数。
運動指導 平田 一恵
保健体育教諭。筑波大学体育専門学群卒業後、約30年にわたり小・中・高等学校にて運動指導を行う。近年は、JHHCAホームヘルスコーチや健康管理士一般指導員、ピラティスインストラクターといった資格を生かし、中高年の運動および健康指導へも活動領域を広げている。
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