体を動かすFitness

運動のある暮らし置き換えウォーキング
をはじめよう!

運動のある暮らし 置き換えウォーキングをはじめよう!

「置き換え」という言葉をよく見聞きするようになりました。ダイエットに関するものが多くありますが、これは特別なダイエット法ではなく、普段食べているものを、より健康的な素材や低カロリー食品に置き換えるという極めてシンプルな発想で生まれたものです。生活習慣の改善は、食に限らず現状からより好ましい状態に変えていくということが基本ですから、この考え方は運動についても適用できます。今月はウォーキングの置き換えに注目してみましょう。

普段の何気ない「歩き」を
運動レベルの「ウォーキング」に置き換え

 

忙しい毎日の中で意識的に運動する時間をもつことは、容易ではありません。そこで、注目したいのがウォーキング。通勤、買い物、散歩など、私たちは毎日何気なく歩いています。しかし、たくさん歩いて疲れは感じるものの「運動している!」という実感や爽快感を得られている人は少ないでしょう。いくつかの工夫を取り入れることで、「生活上の歩き」を「運動レベルのウォーキング」に置き換え、運動習慣のひとつとして組み込んでいきましょう。

ウォーキングの効果

  • スタミナ(全身持久力)の向上
  • 脂肪燃焼(肥満予防・解消)
  • 血行促進
  • 生活習慣病予防・改善
  • 精神の安定
  • 骨粗しょう症の予防

置き換えウォーキングのポイント

歩き方を変えることで、運動負荷を上げ、運動効果を得ることができます。フォームについては下図を参考に、特に歩幅を大きくすることを意識しましょう。置き換えウォーキングでは、「会話できるくらい」、「少し汗ばむ程度」の速さが目安になります。最初から無理をせず、徐々にスピードを上げていきましょう。歩幅を広くとれるようになれば、自ずとスピードも上がってきます。

スマートフォンやスマートウォッチの歩数を計測するアプリの活用や、SNSで参加できるウォーキングイベントに参加するなど楽しく継続できるような工夫も有効です。

ウォーキングの注意事項

  • 体調の悪い日は控える
  • 食後や空腹時は避ける
  • こまめに水分補給をする
    • ※起床後に歩く場合は、コップ一杯の水を飲んでから行う
  • 動きやすく、体温調節ができる服装で
  • 持病のある方は主治医に相談してから行う

ウォーキング前にストレッチを行いましょう

ウォーキング前の動的ストレッチ

ケガの防止や効率的に運動効果を得るためにも、ウォーキング前に動きのある動的ストレッチを行いましょう。ウォーミングアップにストレッチを行うことで、体の動きがよくなり、筋肉の温度が上がります。

メニュー
  • ニーリピーター
    膝や股関節周りの筋肉に働きかけ、可動域を広げます。
  • ランジ
    下半身を中心に働きかけます。体のバランスや体幹など、体全体にも効果的です。
  • ショルダーローテーション
    肩甲骨と肩の関節の動きをよくする動的ストレッチです。猫背の改善にも効果があります。

運動量を増やしましょう

ウォーキングの目安は、1日8000歩程度とされています。8000歩が難しい場合は、まずは、毎日少しずつ歩数を増やすくらいの目標でも大丈夫です。逆にダイエットを目的にされている方は1万歩を目標に。季節ごとの景色を楽しみながら街や公園を歩くなど、ウォーキングが心地よく感じられるようになってくれば、自然と歩く機会も増えるでしょう。また、1日単位で考えるのではなく、平日少なかった分は、週末に補おうといったくらいの考えで1週間単位で目標を設定してもOKです。
歩く場面をウォーキングに置き換えるだけでもある程度の運動量は得られますが、さらに運動量を増やすには以下の工夫も有効です。

暮らしの中で運動量を増やしやすいシーン

  • 外出先で時間があいたときは、街を散策する
  • エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を利用する
  • ひと駅手前で降りるなど、これまでよりも歩く機会を増やす
  • 駐車の際は、店舗などから遠い場所に停める
  • 自転車や車で移動していた場所も、歩くことのできる距離は歩く
  • スーパーなどでの買い物はまとめ買いよりも、こまめに足を運んで買い物をする
  • ゴミ出しは率先して行く

Column1
早朝ウォーキングのすすめ

ウォーキングを行うには朝がおすすめです。たくさんの太陽の光を浴びながら歩くことで、夜に眠りを誘うメラトニンというホルモンの分泌につながります。早朝のウォーキングには、運動効果はもちろんのこと、より良い睡眠習慣にもつながる効用があるのです。また、太陽光を浴びてウォーキングすることで、体にスイッチが入り、活性化させられるため、心地よく1日をスタートできます。太陽の光の中でゆとりある朝を迎えられるよう、早起きも心がけられるといいでしょう。

INFORMATION

監修 栁田 昌彦
同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科教授。筑波大学大学院体育研究科修士課程修了、群馬大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。公衆衛生学、老年医学、運動疫学、スポーツ栄養学などを専門分野とし、日本体力医学会評議員、日本循環器病予防学会評議員などを務める。京都府学校剣道連盟副会長、京田辺市健康づくり推進協議会委員長として社会活動を行うなど、多方面にわたって活躍。主な著書に『スポーツ医科学』(中央法規出版)、『健康教育マニュアル第2版生活習慣病予防の保健指導』(日本家族計画協会)など多数。
運動指導 平田 一恵
保健体育教諭。筑波大学体育専門学群卒業後、約30年にわたり小・中・高等学校にて運動指導を行う。近年は、JHHCAホームヘルスコーチや健康管理士一般指導員、ピラティスインストラクターといった資格を生かし、中高年の運動および健康指導へも活動領域を広げている。
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