春が近づいているとはいえ、まだまだ寒い日が続いています。寒さのせいで運動するのが億劫になっていませんか。高血圧や脂質異常と同様に、「高血糖」の主な原因は運動不足や肥満です。体にたまった余分なエネルギーを運動でしっかりと燃やして肥満を解消し、筋肉の活動量を上げてインスリンの働きを改善しましょう。
血糖値を下げるために
なぜ運動が必要なのか
「血糖値」は、血液中に含まれるブドウ糖の濃度を示す指標です。血液中のブドウ糖は体の細胞内に入り、筋肉や脳を動かすためのエネルギー源として利用されます。しかし、運動不足や肥満、高カロリーな食生活などの生活習慣を続けていると、血液中にブドウ糖がたまり、濃度(血糖値)が高くなります。この状態が「高血糖」です。自覚症状がないため、自分で気づくことは困難です。そのまま放置すると過剰なブドウ糖が血管を傷つけ、動脈硬化が進行して心血管疾患などの重大な疾患を招きます。
人が食事をとると血糖値が上昇し、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンは、血液中のブドウ糖を筋肉などの細胞へ取り込み、血糖値を正常に保つようにコントロールしています。
ところが、インスリンが十分に効かなくなると、ブドウ糖をうまく細胞に取り込めなくなるため、高血糖の状態が続きます(インスリン抵抗性)。このインスリンの働きを弱める大きな要因が肥満なのです。なかでも、内臓の周囲に脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満が重篤な危険因子であることがわかっています。逆に、インスリンの働きを改善できるのが「運動」であることも科学的に明らかになっています。
- ※出典:「糖尿病診療ガイドライン2024」(日本糖尿病学会)
有酸素運動と筋トレで
インスリンの働きを改善しよう
有酸素運動
高血糖の改善には、ややきついと感じるくらいの中強度の有酸素運動が有効です。エネルギーを消費するため血流が増え、ブドウ糖が筋肉の中へ取り込まれていきます。また、定期的な有酸素運動は内臓脂肪を減らし、インスリンの効果を高めます。食事のあと1時間後のタイミングで運動すると、血糖値の急上昇を抑えることができるため推奨されています。
全身の筋肉を大きく動かすウォーキング(速歩)やスロージョギング(歩くような速さのジョギング)などが効果的です。寒さが厳しい日や天候が良くない日は、1月に紹介した踏み台昇降やステップ運動などの室内でも行える有酸素運動を取り入れるなど、前向きに楽しく続けられるように工夫しましょう。
- 運動時間・頻度
- 1日に合計30分以上の運動を毎日続けることが理想です。1回の運動時間は10分以上を基本として15分を2回、10分を3回など、数回に分けても構いません。1週間で150分以上は行いましょう。
- ※出典:e-ヘルスネット「糖尿病を改善するための運動」(厚生労働省)
筋トレ(レジスタンス運動)
有酸素運動に筋力トレーニングを組み合わせることで、高血糖改善のための運動効果が高まることがわかっています。筋トレによって筋肉量を増やせば、それだけ血中のブドウ糖を多く筋肉に取り込むことができるため、血糖値を下げやすくなります。下半身や体幹部などの大きな筋肉を中心にして全身をバランスよく鍛えると効果的です。連日にならないよう週2~3回を目安に行いましょう。
フロントランジ・バックランジ
踏み台昇降は約10~20cmの高さの台を昇り降りする有酸素運動です。シンプルな動きですが、脂肪燃焼効果(消費カロリー)はウォーキングよりも高く、下半身を中心に筋肉を鍛える筋トレ効果もあります。脂質異常はもちろん、血糖値の改善、心肺機能(スタミナ)や骨の強化、姿勢の改善にも役立ちます。まずは基本の昇降動作を身につけ、動きに慣れてきたら各筋肉にフォーカスしたものや負荷を上げるやり方にも挑戦していきましょう。
このほかにも、血液中のブドウ糖を消費するためには下半身を中心とした全身の筋肉を鍛えるスクワットや体幹を鍛えるプランク、上半身を鍛える腕立て伏せをあわせて行うといいでしょう。
運動の前後はウォームアップ・クールダウン
ケガや筋肉痛防止のために準備運動や運動後のストレッチを行いましょう。
注意事項
- 重度の高血糖の人や持病などで通院している人は主治医に相談してから運動を始めましょう。
- 高強度の運動は、一時的に血圧や血糖値が高くなることがあります。中強度を目安に進めていきましょう。
- これまで運動習慣がなかった人や体力に自信がない人は、ストレッチや準備体操を十分に行い、軽い運動や少ない回数から始めましょう。
- 運動だけでなく、食事をはじめ、禁煙や禁酒、ストレス管理など、そのほかの生活習慣とあわせて改善すると効果を高めることができます。
Column
低GIってどんな食品?
食品のパッケージに「低GI」と表記されているものを見かけるようになりました。GI値とは、Glycemic Index(グリセミックインデックス)の略で、食後血糖値の上昇を数値化したものです。
食品を摂取したあとの血糖値の上昇速度を測定し、GI値100のブドウ糖を基準として比較します。数字が大きいほど食後の血糖値が上がりやすく、逆に55以下の数値の食品は比較的血糖値が上がりにくい食品なので、肥満の予防や改善に効果的です。
たとえば、主食の白米はGI値が77、玄米はGI値が55と、食後血糖値に差があるため、玄米のほうが比較的高血糖を防ぐことができます。肥満やメタボ対策に、運動とあわせて、低GI食品を取り入れるのもいいでしょう。
インターバル速歩
「早歩き」と「ゆっくり歩き」を交互に繰り返し、持久力を高めながら、さらに筋トレ効果も向上させるハイブリッド的な運動方法です。
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最大体力の70%以上の早歩きを3分間
- ※ややきついと感じて軽く息が弾む、汗ばむ程度が目安
- 最大体力の40%以下のゆっくり歩きを3分間
1と2で1セットを繰り返し行います
1日5セット、週に4日を目標に行いましょう!
1日5セットは連続でなく、早朝2セット、昼に1セット、夕方2セットの計5セットを行うなど、分けて行っても問題ありません。また、平日に行うのが難しい場合は、土日に早歩き30分ずつ、合計60分行ってもいいでしょう。ポイントは1週間に早歩きを合計60分行うことです。体力に自信のない方は最初から5セットではなく、1日3セットや週に2日から始めましょう。
体力に合ったスロースクワットで、下半身を含めた全身のトレーニングを行いましょう。
【メニュー】
スロースクワット・スローワイドスクワット
体幹と上半身の筋トレの中から、腕立て伏せを中心に上半身のトレーニングを行いましょう。
【メニュー】
バックキック・プランク・腕立て伏せ
運動前に体のスイッチを入れるような場面で行いましょう。筋肉の温度が上り、体の動きがよくなるなどの運動効果が期待できます。
活動の終わりや体をリラックスさせたいときに行いましょう。血流をよくする、疲労物質の滞りを防ぐなどの効果があります。