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元バレーボール日本代表・荒木絵里香さんインタビュー<後編>大学院での学び・女性のキャリア形成支援活動について

元バレーボール日本代表・荒木絵里香さんインタビュー<後編>大学院での学び・女性のキャリア形成支援活動について

ロンドンオリンピックで銅メダル獲得に貢献し、日本女子バレー界をけん引してきた荒木絵里香さん。現役引退後は、大学院へ進学。また、現在は、一般社団法人MANで女性アスリートのキャリア形成や健康課題の啓発活動を行っています。
今回は、大学院で得られた学びや現在取り組むキャリア支援活動について、そして将来の選択肢を広げるために大切なことについて伺いました。

大学院進学の思いと研究を通して得られた学び

Q.

2021年に現役を引退されましたが、引退を決断された理由をお聞かせください。

A.

現役時代は、「もっとうまくなりたい」という思いを原動力に競技を続けてきましたが、あるとき「もうこれ以上はうまくなれないな」と自分の限界を感じました。そのタイミングで、現役引退を決断しました。


Q.

引退後は、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に進学されましたが、大学院で学びたいという思いは以前からあったのでしょうか。

A.

はい。中高生のころから大学に進学したいと考えていました。高校卒業時には、進学か実業団に所属するか悩みましたが、競技に専念する道を選びました。ただ、両親から「大学はいつでも行けるよ」と言ってもらえたことが心に残っていて、引退したら進学したいという思いはずっともっていました。

大学院進学を考え出したのは、引退後に大学院へ進学された先輩方の姿を見たことがきっかけです。関心のある分野を専門的に学ぶことに魅力を感じ、自分も挑戦したいと思いました。


Q.

大学院では、荒木さんの代名詞でもある「ブロック」を研究されたそうですね。

A.

現役時代に感覚的に行っていたプレーを言語化し、誰かに伝えられる形にしたい。また、他の選手がブロックに対してもっている感覚を知りたいと思い、このテーマを選びました。
論文作成はもちろん、Excelでデータを作成することも、プレゼンテーションを行うことも人生で初めてだったので、頭から湯気が出るほど大変な日々でした。でも、研究を進めるなかで、自分が感覚的に行っていたプレーが数式や言葉で整理され、「なるほど、そういうことだったのか」と再発見する場面も多くありました。


Q.

大学院での経験は現在の活動にもいかされていますか。

A.

研究を通して得られた「物事を多角的に見る視点」が、今の活動にすごくいかされているなと思います。

アリーザ愛知では、チームコーディネーターとして選手の育成に携わっていますが、選手たちに「こういう考え方もある」「こんなアプローチもできる」と提案するようにしています。現役時代の私は、周囲の人の言葉によって視野が広がりました。だからこそ、今度は私が若い選手たちの考えを広げるきっかけになれたらと思っています。一つの正解を押しつけるのではなく、その人なりの答えを見つける手助けができればうれしいですね。


女性のキャリア形成支援
「知る」ことの大切さ

Q.

一般社団法人MANではどのような活動を行っていますか。具体的な取り組みを教えてください。

A.

アスリート向けに人生設計シートを作成するワークショップを行っています。将来やりたいことや興味のあることを書き出し、自分の人生を考えるきっかけをつくる取り組みです。人生は思い通りにならないことも多いですが、イメージをもつことで後々それがフックになり、行動につながることがあります。
私自身、学生のころから大学進学を考えていたから、大学院に進学された先輩方に話を聞いてみようと思いましたし、引退後、スムーズに進学できたのも、そういうイメージがあったからだと思っています。


Q.

MANでは、女性アスリートのキャリア形成の支援も行われていますよね。

A.

はい。早いうちから出産などのライフイベントとキャリアの両立について考えることを提唱していて、ワークショップや講演会、web媒体での情報発信などを行っています。

女性アスリートのなかには、無月経等の健康課題を放置したまま競技を続行している選手が多くいるのが現状です。出産を考えているのであれば、早いうちから体のケアをしていかなければならないと、まずは知ってもらうことが大切だと思っています。


Q.

MANの活動を通して、女性にどういったメッセージを発信していきたいとお考えでしょうか。

A.

「知ること」の大切さは、これからも発信していきたいと思っています。

知識をもつことで将来の選択肢は広がります。私自身も、さまざまな情報や考え方に触れたことで、自分の生き方や物事の見方が変わりました。

女性の皆さんには自分自身の健康やライフイベント、キャリアについて早いうちから考えて、興味をもって知識を得ることを大切にしてほしいと思っています。


Q.

現在、さまざまな活動をされているなかで大切にしていることを教えてください。

A.

目の前のことを一つひとつ、真摯に粛々と積み重ねていくことです。大きな目標や夢も、その積み重ねの先にあると思っています。

一方で、こどものことや仕事のことばかりに意識が向きがちなので、散歩をしたり、一人の時間をつくったりしてリラックスすることも意識しています。

そして、周囲を頼ること。一人で抱え込まず、周りの人の力を借りながら前に進んでいきたいと思っています。


INFORMATION

監修 荒木絵里香
岡山県出身。成徳学園高(現・下北沢成徳高校)では主将を務め、卒業後の2003年に東レアローズへ入団。同年に日本代表へ初選出され、4度のオリンピックに出場。2012年ロンドン大会では主将として28年ぶりとなる銅メダルを獲得。出産を経て現役復帰し、2021年の東京オリンピックを最後に現役を引退。引退後は早稲田大学院でスポーツ科学を学び、JOCアスリート委員などを歴任。現在はアリーザ愛知のチームコーディネーターや日本オリンピック委員会(JOC)理事など、スポーツ界の発展に幅広く貢献している。
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