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元バレーボール日本代表・荒木絵里香さんインタビュー<前編>キャプテンとしてのチームづくり・競技と子育ての両立について

元バレーボール日本代表・荒木絵里香さんインタビュー<前編>キャプテンとしてのチームづくり・競技と子育ての両立について

バレーボール日本代表として4度のオリンピックに出場された荒木絵里香さん。長年、トップアスリートとして第一線で活躍されるなか、2014年には長女を出産されました。今回は、日本代表のキャプテンとして取り組んだチームづくりやコミュニケーションの工夫、自分らしく挑戦を続けるための考え方について伺いました。

キャプテンとしての葛藤と
「輪の中心に立つ」コミュニケーション

Q.

現役時代に2度日本代表のキャプテンを務められました。当時はどのような思いでチームづくりに取り組まれていたのでしょうか。

A.

私はみなさんからキャプテンのイメージを持っていただくことが多いのですが、決してリーダーシップやキャプテンシーがあるタイプではなかったんです。

ロンドンオリンピックをめざす時期に、実質的にはじめてキャプテンに選んでいただいたので、「リーダーとはどうあるべきか」と本当に悩み、もがきながら取り組んでいました。

最初は「キャプテンだから先頭に立って引っ張らなければ」と考えていたのですが、なかなかうまくいかなくて。数年間、試行錯誤するなかでたどりついたのが、「チームを一つの輪としてとらえること」でした。チームの先頭には立てないけど、輪の中心にいることならできるというふうに考えました。
中心にいれば自分もみんなを見られるし、みんなも自分を見てくれる。自分ができないことや助けてほしいことは、積極的に仲間や先輩、後輩、スタッフに頼るようにしました。そうすることで、チームによい循環が生まれ、一体感にもつながったと思います。


Q.

チームメイトとのコミュニケーションで、とくに大切にされていたことを教えてください。

A.

まず、自分自身が率先して動くことを意識していました。

そのうえで、「この人に対しては、自分ではなく別の人からアプローチしてもらったほうが伝わりやすいのではないか」「1対1で伝えるより、3~4人でコミュニケーションをとるなかで伝えるほうがいいな」というように、コミュニケーションにかかわる人の組み合わせとタイミングは考えていたかなと思います。


メダルを取ったときは、鳥肌が立った!

Q.

ロンドンオリンピックで銅メダルを獲得した瞬間のお気持ちを教えてください。

A.

鳥肌が立つというか、もう全身と心がバーッと震えるような、本当にすごい瞬間でした。

今振り返ると、そこまでチームのみんなと歩んできた過程や、築いてきた時間の方が、すごく大事でかけがえのない時間だったなと思います。本当に支えてくださった方々やチームメイトのおかげです。


海外で知った新しいキャリア・プライベート両立の形

Q.

ご結婚、ご出産を経験されながら競技を続けられました。その決断の背景にはどのような思いがあったのでしょうか。

A.

もともと「長く競技を続けたい」という思いがある一方で、「自分のこどもをもちたい」という思いもありました。出産後に競技復帰することで、より長く競技を続けられるのではないかと考えたことがきっかけです。

ただ、当時の日本ではそうした選択をする選手がほとんどおらず、私自身もできるはずのない夢のような話だと思っていました。


Q.

その考え方が変わったきっかけはありましたか?

A.

海外リーグでプレーした経験が大きかったです。

出産後も競技を続けている選手や、学業に励んだり、ビジネスを立ち上げたりしながら競技に取り組む選手たちを見て、「こういう選択肢もあるんだ」と知ることができました。その経験は自分の選択にも大きな影響を与えてくれたと思います。


子育てと競技を両立できたのは、
周囲のサポートのおかげ

Q.

子育てと競技を両立するうえで、とくに大変だったことを教えてください。

A.

一番大変だったのは、遠征や合宿で家を空ける時間が長かったことです。娘を連れていくことも試しましたが、最終的には母にサポートをお願いしました。

離れている時間はすごく寂しかったですし、自分で選択したとはいえ、「これでいいのかな」という葛藤もありました。

それでも、家族やチーム、保育施設の方々をはじめ、周囲の方々に手厚くサポートしていただいたおかげで、競技にも集中することができました。自分一人では絶対にできなかったと思います。


Q.

仕事(競技)に向かう姿勢として意識していたことはありますか?

A.

できるだけ元気で明るく家を出ることです。

もしネガティブな雰囲気で練習や遠征に行ったら、自分もまわりもハッピーじゃないなと思って。実際そういった雰囲気で行ったことはないのですが(笑)、元気に「行ってきます」と言って出かけることを心がけていました。

娘自身は、今はバレーボールではなくダンスに夢中になっているのですが、好きなことを見つけて仲間と一緒に楽しんでいる姿を温かく見守っています。すごく楽しそうなので、親としては何よりですね。


INFORMATION

監修 荒木絵里香
岡山県出身。成徳学園高(現・下北沢成徳高校)では主将を務め、卒業後の2003年に東レアローズへ入団。同年に日本代表へ初選出され、4度のオリンピックに出場。2012年ロンドン大会では主将として28年ぶりとなる銅メダルを獲得。出産を経て現役復帰し、2021年の東京オリンピックを最後に現役を引退。引退後は早稲田大学院でスポーツ科学を学び、JOCアスリート委員などを歴任。現在はアリーザ愛知のチームコーディネーターや日本オリンピック委員会(JOC)理事など、スポーツ界の発展に幅広く貢献している。
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