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こどものスマホ利用に潜むリスクと
その対策

こどものスマホ利用に潜むリスクとその対策

スマートフォン(スマホ)の所有率は小学5年生で過半数を超え、中学1年生になると8割以上となります。また、持ち始める時期は男子が10.4歳、女子が9.9歳と低年齢化が進んでいます※。知りたい情報を瞬時に検索でき、連絡手段として便利だとわかっていても、ゲームやSNS依存、ネットいじめやトラブル、SNSを悪用した犯罪など心配は尽きません。安全に使うために決めておきたいルールや知っておくべき対策について解説します。※出典:NTTドコモ モバイル社会白書Web版

こどものスマホ利用によるトラブル

どんなトラブルが起きているのか

友達とつながってコミュニケーションをとったり、文章や写真、動画などで自分を表現したり、いまや日常に欠かせないスマホ。SNSの利用率は、小学校高学年で6割以上、中学生では9割を超えています。サービスごとに利用推奨年齢が設けられており、例えば無料通信アプリのLINEは12歳以上です。しかし、親子などの連絡手段として小学生のうちから使い始めるケースが増えています。
東京都が行った調査では、トラブルで最も多いのが「メールやSNSが原因で友達などとトラブルになった」(44.7%)、次に「親の許可なくアプリやゲームの購入・課金をした」(35.4%)、「注意しても、長時間使用するようになった(注意して、家族間でケンカに発展した)」(24.3%)とあります※。最近はオンラインゲームで知り合った仲間に誘われ、小学生でも犯罪に巻き込まれる被害が増えています。こどもは判断力に乏しいため、さまざまなトラブルに遭うリスクがあり、悪意のある大人がかかわると被害は大きくなります。高校生になると情報の授業などでネットリテラシーが養われる機会が増えますが、小学生にはこうした授業が少ないため、家庭で安全な使い方について話し合うことが大切です。

※出典:
家庭における青少年のスマートフォン等の利用用等に関する調査報告書令和8年2月(東京都 都民安全総合対策本部 総合推進部 都民安全課)

メンタルへの影響、SNS依存について

SNSにはユーザーの行動に基づいて表示内容を変える機能があり、その人の投稿や検索傾向を分析することで、好みに合わせた情報が次々に流れてくるしくみになっています。それにより、自分好みの情報だけを見るようになると思考が偏ってしまい、異なる意見や価値観の投稿を見たくない、知りたくないなどと、メンタルに影響を及ぼすことにもなりかねません。
また、SNS依存も世界的な問題となっています。とくに依存性が高いのがショート動画で、大人でも延々と見続けてしまうことがあります。過去に米国・カリフォルニア州で、ある女性が「自らのSNS依存はYouTubeとInstagramのせいだ」と訴えた裁判で、Googleとメタが敗訴した事例があります。これにより、YouTubeでショート動画の視聴上限を「0分」に設定できるようになったので、このような機能もうまく使って視聴時間をコントロールすることが重要です。

こどもがスマホを使うメリット

スマホの利用は悪い面ばかりではありません。SNSに共通する魅力の一つが、知らない世界の人と出会えること。もちろん安全な使い方をしっかり理解することが大前提ですが、例えば学校でのいじめ被害によって孤立してしまったこどもは、家族や学校の友達には言えない悩みをSNS上で相談できたり、同じ境遇の仲間ができて居場所となったり、セーフティネットになる可能性があります。
また、中高生になるとSNSで「勉強垢(アカ)」とよばれるアカウントを作って、「〇時間勉強したよ」などと学習状況やおすすめの勉強法をアップしたり、ひたすら勉強するだけの動画を投稿し、一緒に勉強する場を提供する人もいます。仲間同士での励まし合いが、一人ではやる気が起きない時のモチベーションアップに役立つかもしれません。

スマホデビューはいつから?

中学生になると部活動の連絡などでスマホを使う必要性が高まるため、そのタイミングで持たせるケースが多いようです。安全に使うためにはLINEの文章の書き方などスマホの使い方を練習し、親子で一緒に付き合い方を学ぶのも対策の一つ。反抗期にさしかかると親の話を聞かなくなり、スマホを見せることに抵抗を感じるようになる場合もあるので、親が管理できるのであれば小学校高学年ぐらいから検討してもよいかもしれません。ただし、一度持ち始めると後戻りはできないので、必要性が出てから持ち始めるようにしましょう。

スマホの安全な使い方・トラブル対策

一旦ルールを決めずに自由に使わせてしまうと、後から規制するのがむずかしくなります。そのため、最初にルールを決めることが重要です。こどもが安全に使える環境を整えるために、親が管理・制限できる機能が「ペアレンタルコントロール」です。スマホやアプリなどを利用できる時間の上限や時間帯を設定できるほか、利用状況・位置情報の確認、課金の制限などができます。その一つで、有害サイトをブロックしたり、不適切なアプリへのアクセスを防いだりする「フィルタリング」も含めて、こどもを危険から守るためにぜひ設定してください。

トラブルを防ぐための3つの対策

使う前にルールを決めよう

問題になりそうな項目を挙げて、こどもの意見も入れて納得して決めることが肝心です。例えば、利用時間(1日〇時間以内、夜は〇時間まで)、課金(する・しない、するならいくらまで)、利用アプリ(使っていいアプリ、新しく使うなら親の許可を得る)、個人情報(顔写真をネット上に公開しない、他人に送らない)、交流相手(危険なのでネットで知り会った人とは会わない)など。定期的にルールを確認・見直すことも重要です。

あえて小さく失敗させてみる

あえて何も言わず、こどもに失敗を経験してもらうことも一つの方法です。例えば、試験前にスマホを見すぎて勉強に集中できなかった結果、試験の順位が下がったとします。その経験から、こどもはスマホを制限することの重要性に気づき、それ以降は親にスマホを預けるようになるかもしれません。自分で気づいて危機感を覚えてもらうことで、改善の意識につながります。無理に取り上げるのはなく、「親は制限の手伝いをしてくれる存在」と認識してくれるようになればベストです。

最も大切なのはコミュニケーション

トラブルを防ぐためには、しっかりコミュニケーションをとることが重要です。例えば、親の実際のLINEのやりとりを見てもらいながら、「句読点がついてるね」「絵文字が多くて文章が長いね」と他愛のない会話をすると、こどももお返しに自分のやりとりを見せてくれる場合があります。同じように、こどもが好きなゲームアプリなどについて尋ねると、いろいろ話してくれる場合も。そこから交友関係などを聞き出せるかもしれません。その際、否定はしないこと。日ごろから「何かあった時は絶対に味方になるから、困ったら相談してね」と伝えることも大切です。

INFORMATION

監修 高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学特別客員教授。SNSや情報リテラシー教育を専門とし、スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育事情にくわしい。専門家として書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆・監修、講演、セミナーなど幅広く活躍。

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