健康に過ごす

スマホで?PCで?
デジタル機器が目に及ぼす影響

スマホで?PCで?デジタル機器が目に及ぼす影響

2000年代に急速な勢いで普及したスマートフォン(スマホ)は、いまやひとり1台持つことが当たり前になりました。また、PCを使った業務や、教育の現場でもタブレットなどの活用が拡大しています。デジタル機器の長時間使用などによって引き起こされる目のトラブルや病気について、正しい知識を身につけて予防に努めましょう。

ある日突然発症する
「スマホ内斜視(後天性共同性内斜視)」

人は近くを見るとき、両目を内側に寄せて同じものを見ながら、同時にピントを合わせています。スマホなどを長時間近くで見続けると、左右の目の位置のバランスがくずれて内側に寄ってしまう「内斜視」の状態になることがあります。これを「スマホ内斜視(後天性共同性内斜視)」とよびます。程度はさまざまで急に物が二つにだぶって見えたり(複視)、気づくのに時間がかかったりすることもあります。発症当初はデジタル機器の使用を控えることで改善する場合もありますが、放置すると、内斜視が固定化する人もいます。10~20代を中心に増えており、勉強や仕事への影響が懸念されています。

症状
  • 両目の焦点が合わなくなり、ものが二つにだぶって見える複視
予防策
  • スマホやタブレットは目から30cm以上離し、なるべく視線に対して垂直の位置に持つ
  • 30分に1回はスマホやタブレットから視線を外し、30秒以上遠くの景色を見る
  • 長時間連続して使用しない
出典:
若年者の後天共同性内斜視に対する提言(日本弱視斜視学会ほか)

デジタル機器を使用した作業で目の疲れや痛みを訴える人は90%以上

出典:
平成20年 技術革新と労働に関する実態調査(厚生労働省)

目の病気につながる「ドライアイ」

人の目の表面は涙で覆われています。涙はまばたきによって目全体に行き渡り、乾燥を防いだり、目を守ったりする大切な役割を担っています。しかし、デジタル機器での作業や動画視聴などを長時間続けると、まばたきの回数が減り、涙の量や質が低下します。それにより、目の表面が乾くドライアイが引き起こされる可能性があります。また、涙の量の減少や涙の質の低下によって目の表面が傷つきやすくなることがあります。現在、日本のドライアイの患者数は約2,000万人といわれ、今後も増加すると考えられています。

症状
  • しょぼしょぼ感
  • ゴロゴロとした異物感
  • 視界のぼやけ・かすみ
  • ものを見る時に疲れやすくなる
  • まぶしい
  • 目やにが出る
  • 目の充血
予防策
  • 意識的にまばたきを行う
  • 長時間連続して画面を見続けず、こまめに休憩をとる
  • 室内の湿度を50~60%に保ち、エアコンの風が直接目に当たらないようにする

日常生活に支障が出る「眼精疲労」

デジタル機器を長時間使用すると、近くを見続けることによる目への負担や、まばたきの減少によるドライアイなど、さまざまな要因が重なって眼精疲労を引き起こすことがあります。症状は目の疲労だけでなく、頭痛や肩こりなど全身の不調、精神的な不調も招きます。

症状
  • 目の痛み
  • 目が疲れる
  • 視界のぼやけ・かすみ
  • まぶしく感じる
  • 目の充血
  • 頭痛や肩こり、吐き気
予防策
  • 適切な距離で画面を見る(パソコンの場合40cm以上、スマホの場合30cm以上)
  • ディスプレイの高さや角度、画面の明るさを調整する
  • 30分おきに30秒以上休憩する

将来にも影響する「こどもの近視」

近視とは、眼球の形が前後方向に長くなり、目の中に入った光線のピントが合う位置が、網膜より前になっている状態のことです。近くのものははっきり見えますが、遠くのものがぼやけて見えるようになります。
こどもたちの近視人口は増加を続けており、スマホやタブレットなどの長時間使用を含む近距離での作業や屋外活動不足などが、近視の発症・進行に関与すると考えられています。近視の進行がとくに早いのは7〜10歳で、低年齢で発症すると、将来、網膜剥離や緑内障、近視性黄斑症など視力に影響する病気のリスクが高くなることが知られています。

症状
  • 黒板の文字やテレビ画面など遠くのものが見えにくくなる
予防策
  • 1日2時間を目安に屋外で活動する
  • 近距離での学習や遊びは、30cm以上離した距離で行い、30分続けたら、30秒休憩

裸眼視力1.0未満の者の割合

出典:
令和7年度学校保健統計(文部科学省)

デジタル機器は、目の健康にもさまざまな影響を及ぼすことが明らかになってきています。日常的に使用するからこそ、正しい付き合い方を知っておきましょう。気になる症状がある場合や、こどもであれば学校健診や家庭で「見えにくそうにしている」「目を細める」などの変化に気づいた際には、早めに眼科を受診することが大切です。

INFORMATION

監修 近藤永子
公益社団法人日本眼科医会 常任理事。日本眼科学会専門医。名古屋大学大学院医学系研究科博士課程修了後、国内外で研鑽を積み、現在医療法人湘山会眼科三宅病院副院長を務める。

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