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家族のコミュニケーション術 <後編>どうすればいい?
思春期の子育て

家族のコミュニケーション術<後編>どうすればいい? 思春期の子育て

急に不機嫌になるかと思えば、いつも以上に甘えてくるなど、思春期のこどもとの向き合い方は悩ましいものです。どうしたらいいのかわからず、戸惑ってしまうこともあるでしょう。今月も引き続き人間関係におけるさまざまな個別相談や講座を行う『フェリアン』所属の臨床心理士北原絵梨さんに、思春期の子育てについてお話を伺いました。

思春期は、自分を確立する
こどもから大人へ変化する時期

思春期の体験は一人ひとり異なります。小学校高学年頃から始まり、変化しながら中学生や高校生頃まで続くともわれています。「私も経験してきたから」と、理解を示す親御さんもいらっしゃいます。それでも、こどもが発する「うるさいなぁ」「かまわないで!」などの言葉や、虫の居所が悪いときに部屋のドアをバンッと閉める姿を目の当たりにすると、つい怒りやすくなったり、自分の子育ての何がだめだったのかと自分自身を責めたくなったりするかもしれません。また、「素直だった子が……」と戸惑うこともあるでしょう。 こどもといえどもひとりの人間です。思春期はこども自身が主張する時期です。親はいつまでもこどもを自分の分身のように考えたくなるかもしれませんが、こどもの思いを尊重し、受け止めることは親子の成長において、とても大切なことです。親に反抗しつつ、成長していくこどもの姿を見守りましょう。

思春期のこどもを理解しよう

第二次性徴の影響で心身の変化を迎える
男子は声変わりや筋肉の発達により闘争的に、女子は笑いが止まらなくなるような傾向にあります。男女ともに体の成長に心の成長が追いつかず、生き方に悩むなど、理由もなくイライラしたり、ふさぎこんだりといった感情の起伏が大きくなり、不安定に見えることもあります。また、自分の容姿についての関心が増し、周囲からの評価に敏感になりやすくなります。
親より友達や仲間が中心になる

親と一緒に出かけることを嫌がるのは、物理的にも心理的にも親から自立したい気持ちから。また、中学校への入学をきっかけに、同じ趣味や考えを持つ友達とのつながりがより親密になったり、新しい友達との付き合いが始まったりします。今までは親に相談していた悩みごとを友達に打ち明けることも少なくありません。一方で友達関係が大事になるほど、そのことが悩みの原因となりやすくなることもあります。

自分だけの世界を持つ

思春期になると親との会話を楽しむよりも、自分の世界を優先するようになるため、親から話しかけられることを面倒くさがるような態度を取りやすくなります。親がこどもの趣味や友人関係すべてを把握することは難しくなります。SNSやオンラインゲームなどを通じて、知らなかった世界に触れていることも考えられます。

こどもが思春期になったら親はどうする?

こどもの話を聴く
一見問題と思えるようなこどもの言動の裏には、自分の思いをうまく言葉で表現できないという葛藤が生じていることもあります。子どもの感情に振り回されるよりも、落ち着いた気持ちで受けとめましょう。こどもの話に耳を傾けたうえで、必要なときにはこどものために何ができるかを考えることも大切です。
先回りしない

こどもが何かに挑戦するとき、「失敗したらはかわいそう」と考えて、先回りして道筋を付けたくなることもありますが、こどもの成長にはチャレンジしたり失敗から学んだりする体験も必要です。危険から守るルールは設けたうえで、「助けが必要になったときは助けに行くから」と伝えて、こどもの挑戦を見守りましょう。

干渉や詮索よりも認める

「どこに、誰と遊びに行くの?」と詮索したり、こどもの持ちものをチェックしたりしていませんか。こどもが大切にしていること、好きなアイドルや動画などの趣味に対して評価や干渉をし過ぎるよりも、まずはそれらを認めてあげることでこどもは安心しやすくなります。ときには親も一緒に楽しんでみるのもいいでしょう。

こどもの個性を大切にする

「普通はこうするよ」と誰かと比較したり、親世代の価値観を押しつけたりするよりも、こどもがすでにできていることはたくさんあるはずですから、そのことへも目を向けて、その子ならではの個性や良いところを認めていきましょう。

こども
おとな

思春期を乗り越えるために

親として頑張っている自分を労おう

子育てをしていると、「こどもをしっかり見る良い親でなければ」という考えにとらわれて、精神的につらくなってしまうこともあるかもしれません。思春期になったこどもから口答えや無視をされると、親として足りない部分があるのかと悩む人もいらっしゃいますが、「親だから全力で頑張ろう」と思い詰めないでください。
子育てに必ずしも正解はありません。必要なときは、「親として私はこう考えているよ」と素直な思いをこどもに伝えましょう。こどもの育て方を間違えたと悩むよりも、親自身もすでにできていることはたくさんあります。それらに目を向け、今まで子育てを頑張ってきた自分を認めてあげましょう。たまにはゆっくりお茶を飲んで過ごすなど自分の時間を大切にしてみてください。

ひとりで悩まず、専門機関に相談を

思春期のこどもとの接し方に不安を感じたり、こどもの様子が心配になったりしたときは、信頼できる人や専門機関に相談することをおすすめします。家族だけで悩まず、気軽に相談しましょう。

相談窓口

●身近な人に相談しても改善せず、専門家のアドバイスが必要と感じた場合

学校の先生やスクールカウンセラー
こどものかかりつけ医や思春期外来
お住まいの地域の子育てセンターや教育センター
大学付属の心理相談室や民間のカウンセリング施設(臨床心理士や公認心理師が対応する施設)

※大学付属の心理相談室は、心理学を学ぶ大学院生などが相談に応じることがあります。親も子もカウンセリングができ、こどもは遊戯療法も行えるなど通いやすいところが多い。

Column
思春期は親子の関係性に
変化が訪れる時期

こどもの成長の過程には反抗期と言われる時期が数回あると言われています。この中でも思春期にさしかかったこどもの多くは、親からの干渉を嫌がるときもあれば、不安なできごとがあると甘えてくるときもあります。気が休まらないかもしれませんが、これらの言動は「親は自分を受け止めてくれる」とわかっているから。反抗的な態度は健全な成長だとわかっていても、親だって人間ですから、受けとめる余裕が持てず腹立たしく思ってしまうこともあるでしょう。思春期は、親も子も急激な変化を経験し、親子の関係にも変化が生まれることが少なくありません。そしてこの時期はいつか終わりがくるものでもあります。そんな時期だからこそ、親も子も一人の人間として尊重し合い向き合っていけるといいですね。

INFORMATION

監修 北原 絵梨
フェリアン所属。臨床心理士、公認心理師として精神科診療内科クリニックや学校、家庭相談機関、男女共同参画センターなどで児童から高齢世代までさまざまな方へのカウンセリングや相談支援を経験。相談者の悩みや生きづらさに寄り添いながら、生じているつらさの背景を整理し、その人らしく歩めるように支援を心がけている。
https://felien.co.jp/
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