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認知症は早期予防が重要

認知症は早期予防が重要

認知症は特別な病気ではなく、誰でも発症する可能性のある病気。今後、高齢化の進展により患者数は増えるとされており、正しい知識や対応策を知っておく必要があります。今回は、認知症の早期発見・早期診断を目指して診療に携わる神戸大学大学院保健学研究科教授で脳神経内科医の古和久朋先生にお話を伺いました。

「認知症」を正しく理解しよう

年を重ねると、誰でもなりうる病気

認知症は突然発症するのではなく、少しずつ脳が萎縮していくという経過の長い病気で、記憶力や判断力が衰えることで社会生活や日常生活に支障をきたしていきます。加齢とともに脳の神経細胞は少しずつ失われていき、現代の医療では、脳の神経細胞が一度失われると元に戻すことはできません。そのため、認知症を完全に治すことは難しいとされています。

「昨日何を食べたのか思い出せない」。
これって老化?それとも認知症?

もの忘れが増えると認知症を疑ってしまいますが、老化が原因の場合もあります。例えば、昨晩の献立を忘れても「食べたこと自体」を覚えていれば、老化によるもの忘れだと考えられます。認知症の場合は、食べたこと自体を忘れてしまいます。これは、「セルフモニタリング」ができなくなるためだと考えられます。
セルフモニタリングとは、自身の認知機能や身体機能の変化などを客観的に意識することです。認知症になるとセルフモニタリングができなくなり、自身の異常に気づかず「自分は大丈夫」という考えになってしまいます。
認知症の人は寒がりな場合が多く、真夏でもクーラーや扇風機を使わず、窓も閉めます。熱中症で亡くなる認知症の人のなかには、家の中でダウンコートなどを着た状態で発見される人もいます。これも現在の季節や気温への認識がなくなり、かつセルフモニタリングができなくなることで自身の体温や適切な衣服の調整ができなくなったことが原因だと考えられます。

「まさか!違うよね?」。
親の違和感に気づいたら、どうする?

こどもは親の異変を感じても、認知症だとは考えたくないものです。しかし、親本人が自身の変化に気づいていない場合もあります。「そんなわけがない」と親が認めず、病院に行く機会を逃すこともあるでしょう。
「食事したことを忘れる」「寒がりになる」「冷蔵庫が満杯」「同じものを買う」などの異変が現れた際は、認知症の可能性があります。ささいなことでも気になることがあれば、早めに医療機関を受診することをおすすめします。家族や周囲の人の気づきが早期発見につながります。

頭と体と心を支える「コグニケア」で
認知症予防

認知症予防&健康づくりを促す「コグニケア」

コグニケアとは、認知症と生活習慣病の予防によいとされる研究成果をもとに、神戸大学が開発したヘルスケア・サービスのことです。「頭と体の運動教室」「健康づくりセミナー」「健康状態の見える化」の3つで構成され、頭と体と心の健康にアプローチしていきます。実際に教室に集まって運動や認知機能の検査を行う「拠点型コグニケア」とPCやスマートフォンで受講する「オンライン型eコグニケア」があります。

頭を使い、体を動かす「二重課題運動」

「二重課題運動」とは、運動と脳トレを組み合わせるなど同時に2つの課題を実行する運動のことです。例えば、数を数えながら3の時だけ足を開く運動、リズムを聞きながら左右の手の動かし方を変える運動、“けんけんパー”などが挙げられます。二重課題運動は脳の注意機能や遂行機能の改善に効果的だといわれています。
日常でも、二重課題運動は行えます。例えば早歩きを週3、4回行うのもよいでしょう。ただ歩くのではなく、周囲に目を配り街の変化をキャッチするなど脳に刺激を与えてください。やや難しいと感じる運動は、生活習慣病の予防にもつながります。

楽しく交流しながら、社会性を維持

コグニケアの教室やセミナーでは、講師が一人ひとりに呼びかけ、参加者同士で話し合いをするなど、共通の時間を過ごし、コミュニケーションを取ることで社会性を維持します。また、楽しみながら取り組むことで継続にもつながります。

若いうちから認知症予防を意識して生活習慣を改めよう

認知症は20年前から進行がスタートするため、50代のうちから認知症予防を意識して生活習慣を改めるのがよいでしょう。生活習慣病は認知機能の低下につながります。50歳未満の人も「まだまだ先のこと」と捉えず、毎年の健診による自身の健康状態の評価と生活習慣の改善を心がけてください。頭と体を活性化させ、定期的に健康状態をチェックすることで、認知症だけでなく、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、老化による活力低下を予防しましょう。

INFORMATION

プロフィール 古和久朋
神戸大学大学院保健学研究科教授。同認知症予防推進センター センター長。東京大学医学部医学科卒。同大学院修了。脳神経内科医として認知症診療に携わるとともに、早期発見・早期診断につながる神戸市の認知症神戸モデルの策定に関与。認知症の「共生」と「予防」を目指して多くの研究、活動を行っている。

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