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いいことづくめの家の片づけ <後編>体と環境にやさしい洗剤選びと
梅雨前のカビ対策

いいことづくめの家の片づけ<後編>体と環境にやさしい洗剤選びと梅雨前のカビ対策

すこやかに暮らすために清潔な居住空間をキープしたいもの。4月はホコリの原因と掃除・片づけについて紹介しました。今月も引き続き、掃除マイスターの山﨑ゆかさんに、日々の掃除での洗剤と、これから梅雨に向けてのカビ対策を教えていただきました。

汚れと洗剤の性質と
ナチュラルクリーニング

ホコリ掃除をしたあと、汚れが残ってしまうことがあります。そんなときは、40~60度のお湯を含ませて絞った布で拭いたりするといいでしょう。軽い汚れはお湯で落とせますが、落としきれない汚れには洗剤が必要です。でも、洗剤は空間や用途で種類がたくさんあって、どれを選べばいいのか迷いますよね。ハウスクリーニングで訪れるお客さまからも、「おすすめの洗剤は?」と必ず質問を受けます。
洗剤選びは複雑に思われがちですが、じつはとてもシンプル。商品の裏に表示している液性をチェックするだけです。掃除する場所や用途が違っても「アルカリ性」「酸性」「中性」の3種類があれば十分汚れと反対の性質を持つ洗剤で中和させることが洗剤選びの基本的な考え方なので、この組み合わせを理解することがポイントです。どの液性か迷ったときや日常の掃除の軽い汚れは、まず中性洗剤を使ってみるといいでしょう。みなさんがよく使う食器洗い洗剤が中性です。
また、「化学物質を使った洗剤は、体や環境に悪い影響をおよぼすのでは」と心配される方は、自然素材の重曹とセスキ炭酸ソーダー、クエン酸を使う「ナチュラルクリーニング」をおすすめしています。これらは粉のまま、水と混ぜたスプレー、ペーストと形を変えて、掃除に使える万能選手です。

  • ※中性洗剤は界面活性剤の働きで汚れを落とすので、ナチュラルクリーニングでは使うことのない洗剤になります。

洗剤と汚れの性質

アルカリ性の特徴とナチュラルクリーニング

アルカリ性洗剤の特徴
アルカリ性の洗剤は調理台やレンジ、フードなどの油汚れ、冷蔵庫の表面や戸棚に付いた手あか、お風呂の浴槽に付いた湯あかなどの清掃に役立ちます。
セスキ炭酸ソーダ
セスキ炭酸ソーダはアルカリの性質が強く、重曹よりも約10倍の効果を発揮するといわれています。頑固な油や血液などの汚れにおすすめです。水300mlに対してセスキ炭酸ソーダ小さじ1弱をを合わせて、スプレー液を作っておくと便利です。
重曹
重曹には研磨作用があり、レンジの五徳や鍋の焦げつきのこすり落としに効果を発揮します。また、消臭効果もあるのでゴミ箱や靴箱の気になる臭いをおさえます。水に溶けにくいので、重曹とぬるま湯を2:1の割合で合わせてペースト状のクレンザーを作るといいでしょう。粉の状態でカップなどに入れておくだけで、消臭・湿気取りになります。
注意点
アルカリ性洗剤は素肌のまま使用すると肌荒れの原因になるので、ゴム手袋などを使うと安心です。
また、アルミの変色、白木へのダメージ、シルクやウールなどのたんぱく質を含む素材を傷めるので要注意。

酸性の特徴とナチュラルクリーニング

酸性洗剤の特徴
酸性洗剤は、キッチンや浴室、トイレなどの水を使う場所におすすめ。水あかや石けんカス、トイレの黄ばみや尿の臭い消しに効果を発揮します。
クエン酸
クエン酸は、レモンなどの柑橘類に含まれる酸味成分です。除菌効果があるので冷蔵庫の掃除におすすめ。ほかも電気ポットのカルキ汚れ、シンクやガラス食器のくすみ取り、衣類の洗濯の柔軟剤の代わりにもなります。スプレー液は水300mlに対してクエン酸小さじ1.5を合わせます。スプレー液は乾くと白い結晶が浮かぶことがあるので、使用したあとは水拭きをしましょう。
注意点
塩素系の洗剤と混ぜると有毒ガスを発生するのでたいへん危険です。水まわりでカビ掃除をするときなど、塩素系洗剤と酸性洗剤を混ぜたり、同時に使ったりしないように注意しましょう。

発生前の予防が肝心
梅雨のカビ対策

発生前の予防が肝心梅雨のカビ対策イメージ

雨が降り続き、温度も湿度も高くなる梅雨はカビの繁殖シーズン。私たちが気づかないうちに、カビの胞子は空気中を飛び散ってどんどん広がります。カビは20~30度の温度、80%以上の湿度や水分、汚れやホコリなどのエサとなる栄養、これら3つの条件が揃えば増殖します。カビは放置すると皮膚や呼吸器に異変をもたらすなど健康にも悪影響をおよぼします。発生する前にしっかり予防することが肝心です。

カビ予防・退治のポイント

水回りの汚れは洗い落とし、乾かす
普段から水がたまりやすい浴室は、カビ温床のひとつです。石けんかすやシャンプーが飛び散っているところは、熱い湯で溶かして洗い落とすこと。洗い落としたあとは、冷水をしっかりかけ回し、浴室の温度を下げてカビの発生をおさえます。最後は十分に乾燥させましょう。体や頭を洗う高さまで、から拭きするとより効果です。また、浴室の隅や排水溝、シリコン製のパッキンなどに発生するピンク色のぬめりは、カビの前段階。発見したらすぐにスポンジでこすり洗いしましょう。
扉は開けっぱなしに
水回りはカビの増殖ゾーンですが、皮や木材なども好むので、湿気がこもりやすい靴箱やクローゼットも要注意。お気に入りのバッグを久しぶりに使おうと思ったら、「カビだらけだった!」なんて笑えないこともあります。扉は開けっぱなしにする、扇風機で湿気を逃がすなど、通気しましょう。
カビの栄養
石けんかすやシャンプーのほか、食べカスやホコリ、皮脂や角質もカビの大好物です。とくに浴室の換気扇や洗濯槽、靴箱に溜まっているホコリ掃除をすると、カビが繁殖しにくくなります。
カビの状態によって洗剤を変える
カビは黒くなる前にアルカリ性洗剤で掃除をして撲滅すること。パッキンなどに黒カビが発生すると、素材の奥まで菌糸(根っこ)を張ってしまうので、塩素を含むアルカリ性洗剤が必要になります。ただし、塩素を含むので刺激が強く、体に負担がかかります。洗剤が周囲に飛び散らず、ダイレクトにカビ退治ができるジェルタイプがおすすめです。カビの生えているところに直接塗り込み1時間放置します。洗い流したあとは、から拭きをしてカビの温床を抹消しましょう。

Column
身近なお掃除グッズでSDGs

洗剤と同様にお掃除グッズも細分化されています。100円ショップに行くとつい買ってしまい、家にあふれていませんか?私がお客さまにおすすめしているのは「アクリル毛糸のたわし」。これひとつで、水あかや油汚れ、窓拭きなどに対応するんですよ。たわしを約40度のお湯で濡らしてクルクルまわし拭けば、あっという間にピカピカになります。油汚れがないものなら、洗剤無しでキレイになるので手肌にも環境にもやさしいです。作り方を紹介しますので、ぜひお試しを!から拭き用の布は、使わなくなったお風呂用のタオルや古布で十分です。
ほかにもじゃがいもの皮も優秀です。でんぷんを含むじゃがいもの皮の内側(白い部分)には研磨剤の役目があるんです。水道の蛇口やシンクなどを水で濡らしたじゃがいもの皮の内側で磨いたあと、お湯で洗い落としてから拭きを。新品のような仕上がりになりますよ。鏡磨きにもおすすめです。捨てる前にひと仕事してもらいましょう。

身近なお掃除グッズでSDGsイメージ
  1. 太めの毛糸をCDケース(同じようなサイズのもの)に30~40回巻きつける。
  2. 毛糸をCDケースから取り外し、長めに切った毛糸を束の中心に巻いて結ぶ。

INFORMATION

プロフィール 山﨑 ゆか
掃除マイスター・自然派ハウスクリーニング「HappyLife」代表。10年間の保育士経験を経て、ハウスクリーニングから生前整理まで幅広く行う「HappyLife」を夫婦で起業。保育士としての経験から、家族の健康を意識した安全で快適な空間作りをサポート。これまで1000件以上の実績を持つ。企業研修や講演のほかにTV・ラジオなどにも多数出演し、掃除と片づけのコツを伝授している。
https://www.happylife-minoo.com/
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