家の中にモノが散らかっていてはリラックスできません。ホコリなどで汚れている部屋で過ごしていると、心身に悪影響をおよぼします。そこで、2回にわたり「健やかになる掃除・片づけ術」を紹介します。
今月は、掃除マイスターの山﨑ゆかさんに部屋を清潔に保つためのポイントや収納のルールを教えていただきました。
病気やケガから守る
ホコリ掃除と部屋の片づけ
ハウスクリーニングを行っていると、アレルギー体質の方や赤ちゃんがいらっしゃるご家庭から健康に暮らすための掃除・片づけなどの依頼や相談が多くあります。
健康のためにとくに注意してほしいのは、「ホコリ」。生活していれば必ず発生するホコリのほとんどは、衣服や寝具などの繊維の擦れから生まれます。カビやダニなどを含むこともあり、鼻炎や皮膚のかゆみ、頭痛など、健康に害をおよぼす原因になります。不衛生な空間で暮らすことのないように、部屋の空気の入れ替えとこまめなホコリ掃除を心がけましょう。
また、室内にモノがあふれて散らかったままの空間では、ホコリがたまっていても気づきにくくなります。ホコリだけでなく、床に置きっぱなしのモノにつまずいて転んで、ケガや骨折してしまうこともあるので、モノを片づける習慣を身につけましょう。
片づけの世界では「部屋が整うと心が整い、頭の中が整理される」といいます。部屋の状態は心の健康状態にも影響をおよぼします。健やかな暮らしを続けるためにも、掃除と片づけはとても大切です。
ホコリ掃除のポイント
- グレーのホコリは要注意
- 部屋の隅やクローゼットの中などに集まるグレー(灰色)のホコリは、蓄積された古いもの。カビやダニなどの健康被害を及ぼす因子も多く潜んでいます。放置しておくとどんどん増殖するので、ホコリを発見したらすぐに除去しましょう。
- 乾いた布などで拭き取るべし!
- ホコリを見つけたら、まずは乾いた布やドライシートでから拭きから始めて一掃すること。濡れぞうきんやウェットシートで拭くとホコリを伸ばしてなでつけ、その場にとどめることになるので厳禁。掃除機でホコリを吸い取るのも有効です。
部屋の片づけのポイント
- 部屋の役割を決める
- たとえば、寝室は睡眠をとり、休息するための空間。寝室が散らかっていると睡眠の質が低下するともいわれます。リビングは団らん、キッチンは調理などそれぞれの空間の役割を見直し、不要な家具やモノを持ち込まないことをおすすめします。
- 部屋に潜む危険をチェック
- 室内にモノがあふれると、自由に動くことが難しくなったり、高いところからモノが落下してケガをしたりすることも。床に紙1枚あるだけで転倒するリスクが高くなるのです。室内を整理整頓することはケガ予防になるといわれています。
部屋と心身をすっきりさせる
整理整頓・収納のコツ
部屋をすっきりさせようと、引き出しやクローゼットになんでもかんでもしまい込むと、探すのに手間がかかります。整理整頓・収納で心がけたいことを紹介します。
整理整頓・収納5か条
- その1:収納はモノ8割・余白2割で気持ちのゆとりを
- 収納するとき、モノはスペースの8割までにするように心がけましょう。収納に余白があることで、モノの出し入れがしやすくなるなど、イライラも軽減されます。また、机の上や引き出しが整理されていると、考えや感情にゆとりが生まれ、仕事の効率も上がるといわれています。
- その2:思い切って手放す決断を
- モノを手放すことに抵抗がある人は多いのではないでしょうか。「いつか着る」「そのうち使うかも」と思う洋服や小物などはほとんど出番がありません。インターネットのフリーマーケットを利用して、使ってくれる人に譲るのもいいでしょう。
- その3:モノの住所を決める
- 「いつ・どこで・誰が・なんのために」使うのかを考えて、収納する場所の「モノの住所」を決めましょう。家族でルールを共有しておけば、収納に迷うことも、モノが行方不明になることもなくなり、無駄な時間や労力、ストレスが減ります。
- その4:小さなスペース・短時間でできる場所から
- リビングなどの大がかりな場所の整理整頓は、時間も手間もかかるので挫折しがち。洗面室や玄関などの小スペースから始めるのがおすすめです。たとえば、1日15分だけ洗面台の化粧品を片づけるという具合に、できる範囲で取りかかりましょう。
- その5:「すぐに片づける」を習慣にする
- 外出先から帰ったら、「靴、コートやカバンを所定の場所に収納する」「持ち帰ったゴミや不要な郵便物を捨てる」など、帰宅後の片づけをルーティンにしましょう。これだけでも立派な片づけです。玄関がきれいだと家全体も整った印象になります。
いざというとき大丈夫?
おうちの薬の保管
我が家では薬を引き出しに収納しています。いざというときすぐに取り出せるように、ケガや肌のトラブルなどで使用する外用薬の引き出し、頭痛や風邪などで服用する内服薬の引き出しに分けています。薬を別の容器に移し替える方もいらっしゃいますが、品質の低下や誤用にもつながるので、外箱や袋は捨てず、説明書もそのままに保管すると安心です。使用期限もこまめにチェックしましょう。
教えて!お医者さん
残った処方薬はどうすべき?
医師の診察を受けて処方された薬は、その都度「飲み切る・使い切る」のが基本です。しかし、実際には解熱鎮痛薬などの頓服薬や外用薬は残る場合もありますよね。残った薬は、お子さまの手の届かない場所に正しく保管しましょう。
薬の保管方法が分からない場合は、ぜひ薬剤師に相談してください。
薬は患者さん一人ひとりの年齢、体重、症状、原因に合わせて処方されています。
処方を受けた本人が使用し、家族やきょうだいで使い回すのは絶対にやめましょう。保管した薬の使用にあたっては、自己判断するのではなく、必ず医師の診察を受けた上で服薬しましょう。薬は正しく保管し、使用期限と用法用量を守って服薬することが重要です。
大阪公立大学医学部附属病院 小児科医師 須永紋奈